2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳型記憶素子への展開をめざした階層構造型スーパースピングラスの創製
Project/Area Number |
23655198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 勝久 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80188292)
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Keywords | スーパースピングラス / 磁性体 / 酸化物 / 階層構造 / 超微粒子 / アモルファス / 薄膜 / ファラデー効果 |
Research Abstract |
超微粒子の集合状態のように階層構造を有する酸化物スーパースピングラスを合成して、各階層構造に基づく異なる時間スケールでのスピンダイナミクスを実現し、時間多重の脳型メモリーに展開することを目的としている。階層構造を持つスーパースピングラスの多段階磁気転移と時間多重記録の提案は独創的であり、脳を模倣した新しい型のメモリー材料を開発するという観点からインパクトは大きい。本研究では、このような磁気的クラスター/超微粒子といった階層構造を持つ酸化物磁性体を合成し、時間多重スーパースピングラスを実現する。特に、非線形磁化率とスピンダイナミクスに関する測定から得られるデータの解析、磁性と結晶構造や微視的形状との関係の解明により、階層構造を有するスーパースピングラス相を得るための材料設計指針を確立する。今年度は、階層構造の観点からメソ孔をもつシリカガラス微小球を作製し、メソ孔にマグヘマイト微粒子を析出させた複合材料の磁性を調べた。シリカガラス微小球は粒径が揃っており、フォトニック結晶を形成することが可能であった。この系は単純な超常磁性を示したが、ファラデー効果の波長依存性において、フォトニックバンドギャップ近傍でのファラデー回転の変調が観察された。同様の磁性体微粒子を含むランダム系複合材料を、鉄イオンを含むケイ酸塩ガラスへの超短パルスレーザーの照射によって実現し、基礎的な磁性に関する知見を得た。すなわち、マグネタイトあるいはマグヘマイトのナノ結晶を含むソーダ石灰ガラスを作製し、磁化測定ならびにファラデー効果測定からこの系が室温で強磁性(フェリ磁性)的挙動を示すことを明らかにした。また、リエントラントスピングラス転移を示すEu2+高含有酸化物ガラスに対してファラデー効果測定を行い、このガラスが従来から知られているガラス材料の中で最も大きいベルデ定数を有することを見いだした。
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Research Products
(6 results)