2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23655200
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐藤 久子 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (20500359)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末益 崇 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 教授 (40282339)
|
Keywords | 光伝導性 / 層状化合物ナノシート / ダイオード / 粘土鉱物 / ニオブ酸ナノシート / 電子デバイス |
Research Abstract |
本研究では、剥離した粘土鉱物がナノメーターの厚さであることに着目し、剥離化粘土をセンサー、ダイオード、トランジスタ-等の電子デバイス本体に用いることを提唱する。H24年度は、光伝導性を示すことが知られている層状ペロブスカイト型ニオブ酸ナノシートの伝導性に関して詳細な検討をおこなった。光伝導に対して、キャリアの同定、ナノシート膜の剥離方法、膜厚などの影響を調べた。その結果、このニオブ酸はn型のキャリアを持ち、光伝導性は剥離されたニオブ酸粒子がある程度の大きさを持つとき(<100μm)に顕著に表われることがわかった。さらに、光伝導の大きさは、キャスト膜の表面状態に大きく左右されることもわかった。特に剥離時に用いるアルキルアンモニウムが表面に残っていると光電流が極度に抑えられてしまうことがわかった。キャスト膜を希硝酸で短時間(~30sec)洗浄する方法を見出した。この処理によって再現性よく光伝導を得ることができた。表面効果は、必ずしも光伝導が表面電流であることを意味するものでないこともわかった。伝導性キャリア(電子)は光照射によって膜全体に生じ、その後表面にまで拡散し、そこで残留したアルキルアンモニウムイオンによって消滅すると考えられる。 再現性の良い光伝導膜を得ることができたので、現在このニオブ酸膜と粘土鉱物(人工サポナイト)キャスト膜との複合膜を用いてショットキー型のダイオードの製作を行っている。この結果、ダイオード性は確認された。2種のキャスト膜の複合化方法を検討している。それと並行して、分担者の末益教授と打ち合わせをし、トランジスタ作製方法や薄膜のモビリティ測定などの打ち合わせをおこなった。また陽イオン交換性の粘土鉱物の一種である複水酸化物(LDH)を用いてキラル脂肪酸(R-12HOA)との複合化・剥離化にも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再現性のある光伝導性を目指すことが今後のデバイス化に重要であると考え、層状ニオブ酸ナノシート膜についての詳細な検討を優先させた。また、前年度から引き続き、予期しなかった課題として、粘土鉱物に関連した社会的に重要な問題(放射性セシウムを吸着した土壌による環境汚染)の解決のために、粘土鉱物とCsイオンやヨウ素の吸着に関する研究を行った。その結果、吸着したCsイオンの微細構造を高分解能電子顕微鏡観察によって初めて明らかにした。これを報告した論文はChem. Lett. のEditor’s Choiceに選ばれた。また、それに基づき、Csイオンがバーミキュライト中で可逆的にイオン交換をすることに成功し、脱離への手がかりをつかむことができた。これも日本化学会の速報誌(Chem. Lett.)に発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)ナノシートの各種積層方法の検討:今まではキャスト膜を用いてきたが、より厚さの制御された膜積層法として、ラングミュアー・ブロジェット(LB)法や自己集積法などを検討する。得られた薄膜を各種条件下(励起波長(340 nm)、温度、雰囲気など)での伝導性実験を行う。 (2)光起電力を取り出せるようなデバイス製作:現在ダイオードの製作を行っているが、エネルギー変換素子の開発をめざした、仕事関数の異なる各種金属電極を接合してナノデバイスとし、光起電力を取り出すことを試みる。得られた薄膜を用いて、外部因子(温度、光気体雰囲気等)の影響のもとに光エネルギーから蓄電された電気エネルギーへの変換の効率を調べる。 (3)トランジスター製作:分担者の末益教授と共同して、トランジスタ製造と測定をおこなう。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光半導体性薄膜のモビリティ測定用ためのガラス器具。(末益)打ち合わせのための旅費(末益)AFM針、薬品、ガラス器具(真空セルなど)(佐藤)学会出張、打ち合わせ旅費 (佐藤) 伝導度測定のための謝金 (佐藤)技術員の雇用(佐藤):伝導性膜の剥離化、伝導性測定など
|
-
-
[Journal Article]2012
Author(s)
Kazuya Morimoto, Takahiro Nakae, Keishi Ohara, Kenji Tamura, Shin-ichi Nagaoka and Hisako Sato
-
Journal Title
New Journal of Chemistry
Volume: 36
Pages: 2467-2471
DOI
Peer Reviewed
-
[Journal Article]2012
Author(s)
Weijie Du, M. Suzuno, Muhammad Ajmal Khan, K. Toh, N. Nakamura, M. Baba, K. Toko, N.Usami, T. Suemasu
-
Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: 100
Pages: 152114
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-