2011 Fiscal Year Research-status Report
エマルジョンを用いたポリウレタンの反応エレクトロスピニング
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23655209
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
青木 雄二 山形大学, 理工学研究科, 客員教授 (30536199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SUKUMARAN S.K. 山形大学, 理工学研究科, 助教 (70598177)
杉本 昌隆 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (10361271)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エレクトロスピニング / ポリウレタン / コアシェル構造 / ナノファイバー / 高強度・高弾性 |
Research Abstract |
本研究は有機溶媒を使用しない系でポリウレタン(PU)のエレクトロスピニングを行うことを目的とするものである。具体的には高分子水溶液中に分子量の低いPUプレポリマーをエマルジョンの状態で分散させ、これをエレクトロスピニングすることでエマルジョン中のPUドメインを合一させ、架橋剤によって架橋させることで高分子化したのちに水溶性の高分子を溶かしてPUの繊維を得るというものである。この方法は、低分子試料を高分子の水溶液にブレンドし、ブレンド溶液のエレクトロスピニングを行い、低分子試料を架橋させることで高分子化したのちに水溶性の高分子を溶かして目的の高分子の繊維を得るという知見から着想を得たものである。 平成23年度においてはエマルジョンを作製するのに最適な水溶性高分子とPUプレポリマーの粘弾性を測定し、これを実際にエレクトロスピニングに最適なエマルジョンを探ることを目的として研究を行なってきた。その結果、重量平均分子量31000~50000のポリビニルアルコール(PVA)の25wt%水溶液中に重量平均分子量400のポリエチレングリコール(PEG)をジオールとして3時間予備重合させたPUプレポリマーが双方のゼロせん断粘度が近く、混合させやすいことがわかった。しかしこの試料を用いて作成したエマルジョンによるエレクトロスピニングではPUドメインの合一が起こらず、PUの粒子を得るという結果に留まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度中の達成目的であるエマルジョンを作製し、エレクトロスピニングを行うことは達成されており、今後PUの繊維化を目的として研究を行うことで研究の最終目標を達成するよう検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
エレクトロスピニングを行う際の電圧や極板間距離などのスピニング条件を変えることにより、繊維構造の改善が見込める。また、エマルジョンを使用したエレクトロスピニングの場合、ドメインの粘度が高いほどドメインが合一するという知見から、ドメインの粘度を変えたエマルジョンを作成し、ポリウレタンの繊維化を目指す。 さらに、合成条件やドメイン/マトリックスの混合比を変えたエマルジョンを作製し、繊維のナノサイズ化を目指す。 エレクトロスピニングを行う際、架橋剤を添加した試料は粘度が増加するため一本のシリンジで押し出すのは困難であると考えられる。そこで、二本のシリンジを用い、エマルジョンと架橋剤の流量比、混合流路の距離、架橋反応時間などを変える実験を行い、最適な紡糸条件を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
低粘度の溶液の粘弾性をより正確に測定するため、レオメーターの治具の購入を検討している。また、ドメインを合一させるにあたり、二液の界面張力を測定する必要があることから、界面張力測定システムの購入を検討している。 エマルジョンに架橋剤を混合させる際、外力による混合が不可能であるのでスタティックミキサーの購入を検討している。 エレクトロスピニング法による研究に必要な機器や試料などは消耗品であるので、これらを購入する。 情報収集のための学会参加や当研究を通じて明らかにした学術上新規で有益なデータを学会にて発表するために必要な旅費などを計上する。
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