2011 Fiscal Year Research-status Report
ナノハイブリッド調製法を応用したメタマテリアル創製法の探索
Project/Area Number |
23655213
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野呂 篤史 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90377896)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ブロック共重合体 / ナノハイブリッド / メタマテリアル / 高圧重合 / 可逆付加開裂連鎖移動重合 / ナノ相分離構造 / 高分子量 |
Research Abstract |
ナノメーターオーダーで金属を規則配列させた「金属ナノ構造体」内部では、ナノ空間内に閉じ込められた自由電子と光(電磁波)とが共鳴することにより、表面プラズモン(SPR)を生じる。このSPR現象による自由電子からの発生磁場が周辺磁場を打ち消すことで、負の屈折率を有する「メタマテリアル」が創製できると考えられている。そこで本課題では、最近我々が開発したナノハイブリッドの調製法を高分子量ブロック共重合体に適用することによって、比較的大きなナノ構造を有するハイブリッドを作製し、そのメタマテリアルとしての可能性を評価することを目的としている。 平成23年度では比較的大きなナノ構造を有するハイブリッドを作製するために、高分子量ポリマーの合成に着手した。専用の装置を用いて高圧下(約4000気圧)においてスチレンモノマーの可逆付加開裂連鎖移動重合を試みた。大気圧下での重合では変換率が高くなるにつれて重合が進行しなくなるが、高圧下での重合では比較的短時間でほぼ100%の変換率を実現することができた。ゆえに得られたポリスチレンは比較的大きな分子量(数十万)のものであった。今後重合条件を最適化することにより分子量が大きくかつ分子量分布の狭い試料を合成していく。また得られたポリスチレンホモポリマーをマクロ開始剤として別モノマーを重合することにより、高分子量のブロック共重合体を合成していく。 高分子量ブロック共重合体合成とは別の実験も行った。分子量が数万程度のブロック共重合体と様々な金属塩とを混合することによって、混合物がナノ相分離構造を示すハイブリッドとなっていることを、透過型顕微鏡および小角X線散乱により確認している。また金属塩の代わりにカドミウム-セレンナノ粒子を混合することでもナノハイブリッドを調製できた。こららの結果については学会発表を行った。また関連の研究成果に関して論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子量ブロック共重合体の合成までには至っていないが、その前段階である高分子量ホモポリマーの合成を達成することができている。また平成23年度交付申請書に記載の通り、ナノハイブリッド調製、ナノハイブリッドの構造観察については順調に進めることができている。おおよそ予定通りに研究を進めることができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧でのリビング重合を実施することによって、高分子量ホモポリマーの合成を実現できている。今後は分子量分布の狭い高分子量ブロック共重合体を合成するために、実験・合成条件を系統的に変化させて実験を行うことにより、最適な実験・合成条件を見つけ出す。さらに高分子量ブロック共重合体と金属化合物とを混合することによってナノハイブリッドを調製し、そのメタマテリアルとしての特性を評価する。構造サイズだけではなく構造形状が光学特性に大きな影響を与えると考えられるので、モルフォロジーの影響も調査する。具体的な調査方法としては光の透過率測定、反射率測定を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高圧重合、ナノ構造観察、光学測定を行うための物品の購入費として平成24年度に交付された研究費と平成23年度残金の大部分を使用する。また現在までに得られた研究成果、今後得られる研究成果について学会において発表するため、学会出張旅費として使用する予定である。 なお、前倒し経費で購入予定であった油入耐触圧力計(十数万)は、既存の圧力計で代用したために購入の必要がなくなり、ゆえに平成23年度残金が生じた。
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