2011 Fiscal Year Research-status Report
超臨界エレクトロスピニング法による特異な形態を有する複合ファイバーの調製
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23655217
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
後藤 元信 熊本大学, バイオエレクトリクス研究センター, 教授 (80170471)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ナノファイバー / 超臨界流体 / エレクトロスピニング / 中空糸 / 多孔体 |
Research Abstract |
溶媒特性を大幅に温度・圧力により制御可能な超臨界流体中でのエレクトロスピニング法を利用することにより、特異なモルフォロジーを有し、高分散金属ナノ粒子を含有するサブミクロンファイバーを調製することを目的とした。高圧の超臨界二酸化炭素中でエレクトロスピニング法が可能となる窓付き高圧セルを備えた装置を現有の設備を改良して製作する。高分子としてPVP、モダアクリル等を用いてエレクトロスピニングを行い、ポリマージェットの様子を観察し、ノズル形状、電圧、流量、圧力、温度などの操作因子との関連を調べる。ファイバーを回収し、構造と操作因子との関連を調べる。特にスキン層および内部の貫通孔、多孔構造の形成に焦点をあてる。また、超臨界流体中で金属錯体の還元を利用することによる金属ナノ粒子のファーバー上への高分散付与を検討した。 装置は高圧セル、超臨界二酸化炭素供給部、高電圧供給部から構成され、調製した材料を容易に回収し、セルを洗浄する構造を有するものとなるよう装置を改良した。 常圧エレクトロスピニング実験により、PVPなどのポリマーを用いて、常圧でのエレクトロスピニングの実験を行い、得られたファイバー等のナノ構造材料と操作因子の関係を調べた。 超臨界エレクトロスピニング実験は二酸化炭素中で5~10MPa の圧力でのエレクトロスピニングを行い、操作因子として、圧力、ポリマー流量、ノズル形状、電圧、ポリマーを溶解する溶媒について詳細に検討した。臨界点近傍の流体中で完全な中空ファイバーが得られた。これは常圧法では得られない構造であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
常圧得られたファイバーと高圧で得られたファイバーを比較することにより、得られるファイバーのモルフォロジーと圧力の関係を明らかにすることができた。これまで報告のない新規な形態の中空ファイバーを高圧領域でえることができた。また、ファイバーのモルフォロジーに圧力が重要であることを示し、中空ファイバーが得られるメカニズムをある程度解明した。この結果は、初期の予想を遥かに超えた興味深いものである。金属ナノ粒子を付与する実験については、原料の導電率、誘電率の問題があることがわかり、操作条件を慎重に選定する必要が有ることがわかったが、現時点では金属ナノ粒子分散ファイバーは得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリマーを種々変えて、エレクトロスピニング実験をすることにより、ポリマーの性質と得られるファイバーの関係を明らかにしてゆく。中空ファイバーを中心とした特異な形態を有するファイバーの形成メカニズムを明らかにするための、実験操作を工夫する。金属ナノ粒子含有ファイバーについては、原料の選定と操作条件の選定を行い、安全性を確認しながら実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置の部分的な改良のための物品費:200,000円実験のための試薬、ガラス器具、配管部品からなる物品費:200,000円研究成果発表および実験サンプル分析のための旅費:200,000円
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Research Products
(5 results)