2012 Fiscal Year Research-status Report
超臨界エレクトロスピニング法による特異な形態を有する複合ファイバーの調製
Project/Area Number |
23655217
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
後藤 元信 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80170471)
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Keywords | ナノファイバー / 超臨界流体 / エレクトロスピニング / 中空糸 / 多孔体 |
Research Abstract |
溶媒特性を大幅に温度・圧力により制御可能な超臨界流体中でのエレクトロスピニング法を利用することにより、特異なモルフォロジーを有し、高分散金属ナノ粒子を含有するサブミクロンファイバーを調製することを目的とした。高圧の超臨界二酸化炭素中でエレクトロスピニング法が可能となる窓付き高圧セルを備えた装置を用いる。高分子としてPVPおよびPVPとPLAブレンドポリマーを用いてエレクトロスピニングを行い、電圧、流量、圧力、温度などの操作因子との関連を調べる。ファイバーを回収し、構造と操作因子との関連を調べた。特にスキン層および内部の貫通孔、多孔構造の形成に焦点をあてる。また、金属とポリマーの複合材料の調製を試みる。 超臨界エレクトロスピニング実験は二酸化炭素中で5~10MPa の圧力でのエレクトロスピニングを行い、操作因子として、圧力、ポリマー流量、ノズル形状、電圧、ポリマーを溶解する溶媒について詳細に検討した。PVPファイバーの場合と同様にPVP/PLA複合ファイバーにおいても臨界点近傍の流体中で完全な中空ファイバーが得られた。これは常圧法では得られない構造であった。圧力が低い場合はソリッドな構造で、高圧ではバルーンが連結した多孔構造のファイバーが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
常圧得られたファイバーと高圧で得られたファイバーを比較することにより、得られるファイバーのモルフォロジーと圧力の関係を明らかにすることができた。これまで報告のない新規な形態の中空ファイバーを高圧領域で得ることができた。また、ファイバーのモルフォロジーに圧力が重要であることを示し、中空ファイバーが得られるメカニズムをある程度解明した。この結果は、初期の予想を遥かに超えた興味深いものである。金属ナノ粒子を付与する実験については、原料の導電率、誘電率の問題があることがわかり、操作条件を慎重に選定する必要が有ることがわかった。最終年度に金属ナノ粒子分散ファイバーを調製する。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリマーを種々変えて、エレクトロスピニング実験をすることにより、ポリマーの性質と得られるファイバーの関係を明らかにしてゆく。中空ファイバーを中心とした特異な形態を有するファイバーの形成メカニズムを明らかにするための、実験操作を工夫する。ファイバーのモルフォロジーと二酸化炭素との関連を明らかにする。金属ナノ粒子含有ファイバーについては、原料の選定と操作条件の選定を行い、安全性を確認しながら実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験のための試薬、ガラス器具、配管部品からなる物品費:300,000円 研究成果発表および実験サンプル分析のための旅費:300,000円
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