2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚本 勝男 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60125614)
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Keywords | キラル / 結晶成長 / その場観察 / 準安定 / 核形成 |
Research Abstract |
塩素酸ナトリウムが結晶化のさせかたにより、右手系と左手系のキラリティに分かれることは知られているが、なぜ、物性的に等しい両キラルが、そのような方法で選別されるかは理解されていない。塩素酸ナトリウムは分子はキラリティを持たないが結晶はキラリティをもつ特殊な結晶である。 従来の実験方法は非常に簡単である。ビーカーに飽和溶液を入れ、撹拌操作により結晶の析出をさせるのが主な方法であった。これまでの研究では、その操作の方法により、どちらのキラリティが優先的に析出するかを、析出してきた結晶を統計的に調べることで研究をおこなうという間接的な研究方法であった。それに対して、本研究でのアプローチでは、結晶化過程を直接“その場”観察する手法をとった。方法は、高倍率偏光顕微鏡による光学観察と原子解像度をもつFM-AFMを利用した。その結果を以下にまとめる。 1.従来から知られているキラリティをもつ結晶が核形成する前に、準安定な非立方晶系の結晶が現れることが初めて確認された。この結晶をクライオX線装置で構造解析した結果、キラリティを持たない単斜晶系の結晶であることが分かった。2.この準安定相は次の二つのメカニズムにキラリティをもつ結晶に相転移する。(1)固体相転移。(2)液相経由の相転移。前者の相転移速度は後者に比べて飛躍的に大きい。3.FM-AFMで成長している立方晶系の(100)面の原子解像度での観察に成功した。 これらの全く新しい結果は、今後のキラリティ発生の原子レベルの研究が可能なことを閉めすることができた。また、キラリティ発生に新しい速度論的な挑戦ができることを示すことができた。こららの結果は国際誌に投稿中であり、国際学会でも発表している。
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Research Products
(12 results)