2012 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導ダイヤモンド薄膜による格子冷却型ホットエレクトロンボロメータ
Project/Area Number |
23656007
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中島 健介 山形大学, 理工学研究科, 教授 (70198084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 義彦 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (10354341)
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Keywords | テラヘルツ / 超伝導 / ボロメータ / ダイヤモンド / NbN |
Research Abstract |
フォノン冷却型超伝導ホットエレクトロンボロメータ(HEB)の特性を支配する要因の一つである基板の熱伝導性に着目し低温熱伝導とテラヘルツ透過特性に優れたダイヤモンド単結晶を基板とするHEB用超伝導薄膜の作製とHEB材料としての基礎特性評価を行った。格子冷却型HEB用超伝導材料には電子のエネルギーを素早く格子へ伝えるための強い電子-格子相互作用と膜厚を制限するコヒーレンス長の短い超伝導体が望ましい。本研究では,超伝導材料として高濃度ボロン・ドープCVDダイヤモンドと強い電子-格子相互作用と約5nm程度という非常に短いコヒーレンス長を持つNbNを選択した。高濃度ボロン・ドープCVDダイヤモンド薄膜の超伝導転移温度は基板の方位に依存し,本研究で用いた100基板で得られた超伝導転移温度は最高3.8Kであった。一方,NbN薄膜はNbをターゲットに用いた反応性スパッタリングにより成膜し,MgO単結晶基板を用いてスパッタ条件の最適化を行った結果,アルゴンガス導入量10sccm,窒素ガス導入量1.4sccmの条件でほぼ単相のNbNとなり,超伝導転移温度は,基板加熱無しで13.2K,基板温度400℃膜厚で最高の15.8Kが得られた。これらの超伝導転移温度は膜厚20nm以上ではほぼ一定の値を示し,それ以下の膜厚では徐々に低下して5nmではそれぞれの最高値の60%程度まで低下した。一方,ダイヤモンド単結晶を基板とした場合には,基板加熱無しで最高の超伝導転移温度10.2Kを記録し,基板加熱によって超伝導転移温度が低下する傾向が見られた。X線回折の結果から基板加熱により基板との界面にNbCが生成したことが超伝導転移温度の低下を招いたものと判断される。膜厚依存性についてはMgO基板の場合とほど同様に20nm以下で低下したが,その低下傾向はMgO基板に比べて顕著であり,膜厚5nmでは4.8Kまで低下した。
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