2012 Fiscal Year Research-status Report
窒化物縦光学フォノン・プラズモン結合モードによるテラヘルツ光源科学の新展開
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23656010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石谷 善博 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60291481)
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Keywords | テラヘルツ波 / フォノンポラリトン / 界面モード / 量子干渉 / 界面分極 / 半導体薄膜 |
Research Abstract |
本年度は, 昨年度に続き表面・界面ポラリトンの伝播特性,LOフォノンエネルギー位置での光吸収についてGaNの他InNおよびAlNについて,赤外反射分光,減衰全反射分光,分光エリプソメトリによる解析を行った。その結果,すべての試料についてGaNと同様に界面ポラリトン伝播特性が得られ,その伝播距離が1μm程度以上となり得ることが分かった。また界面分極電荷により電気双極子が発生し,これによる光吸収と考えられるスペクトルが得られた。これはフォノン系によるTHz発光の可能性を示す。 量子干渉効果については、2フォノンモードを持ち,かつ電子系の連続状態をもつp型GaInPの試料に対してラマン散乱スペクトルを取得して解析を行った。その結果量子干渉効果と思われるスペクトルの非対称性がフィッティングパラメータに表れていることが分かった。この結果は,上記のフォノン系THz発光がなされれば,量子干渉効果を用いたフォン系を用いた動作原理による高効率波長変換素子が可能となることを示す。 THz光発生については,薄膜試料およびストライプ状の段差構造を形成して窪み部分に金属を埋め込んだGaN試料に対して約983nmおよび1060nmの2レーザ光を用いて試行したが,現在のところTHz光が確認できていない。周波数差の厳密な制御を行うべく精密な波長制御装置の設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
THz発光が観測されていないため、これに関する進展がなされていない。一方で、平成25年度に計画されている電磁誘起透明化については、一定の進展がみられており、先んじている面もある。 平成24年度は研究代表者が学科長・コース長としての学内業務が多忙となり、研究の進展が遅れた。平成25年度は本職が解かれるため、予定の研究項目を遂行する。平成25年度は、THz発光は差周波発生として得られるため、和周波である緑色光の観測を含めて実験を進め、その発生の確証を得るなど多角的に研究目的の遂行を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
GaNのLOPCモードについては、既に測定を行っている。この結果を基に平成25年度に3準位系レレーザの可能性を示す。また理論的なゲインなどの見積は進行中であり、これを遂行する。 THz波の観測は、2レーザ光の和周波の観測による間接的ではあるが確実な証拠と考えられる方法も合わせて実験を行う。その際,入射光の減衰量の入射強度依存性などボーズ粒子発生における特徴にも注意して多角的に実験的、解析的検討を進める。 電磁誘起透明化の可能性については、自然超格子を持つGaInP薄膜結晶のラマンスペクトル解析に加え,減衰全反射分光による吸収スペクトルに現れるスペクトル非対称効果の解析を含めて行っている。この解析を遂行する。窒化物については,結晶性の良いGaInPの実験結果の解析から得られるデータを基にした理論的予測と実験解析の両面から検討を行う。 これらによりフォノン系によるTHz発光、電磁誘起透明化の実現可能性を示す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
いくつかの材料についてTHz帯差周波・和周波発生をお確認するためのレーザおよび光学素子、材料加工プロセスのための原材料、論文投稿費用、学会発表費用を主な使途とする。
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