2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白石 誠司 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30397682)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 分子性単結晶 / スピンポンピング / スピンコヒーレンス |
Research Abstract |
分子性単結晶へのスピンポンプに向けた磁性体/分子界面の制御に取り組みつつ、新しいスピン注入源の探索を行った。界面制御に関しては磁性金属 表面にキャップ層としてAlなどを蒸着したがこの場合はスピンポンピング効率が減少してしまい、若干FMR信号に変調が見られるものの観測にかか るほどの量のスピンをポンプするには至っていない。また、分子の伝導度が高いことに起因するバックフローも目指す結果を得る障害となっている。そ こで新しいスピン注入源としてFe系酸化物強磁性体を中心に検討を行った。FeOをベースとして酸化物強磁性体の中ではフェライトが最も明瞭な FMR信号を出すことがわかり、Pdをフェライト上に蒸着した場合にFMR線幅の変調が見られることを見出した(論文準備中)。今後は酸化物系強 磁性体をベースに好適なスピン注入源を探索し早期の分子単結晶へのスピンポンピングを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
強磁性金属上に分子性単結晶をラミネートするプロセスでデバイスを作製しているが、磁性金属表面の酸化が予想以上に迅速かつ重篤であり界面のπ- dカップリングを阻害しているためであることがFMR測定などから明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
磁性金属の酸化を防止することも1つの方策であるが、本質的に酸化の問題を回避するために酸化物系強磁性体を用いることでブレイクスルーを目指 す。酸化物系のメリットは伝導度が場合によっては分子よりも悪いためにスピンポンピング時のバックフローを抑制できる点にある。既にいくつかの材 料に目星を付けており予備的な実験にも成功しているので、本研究目標の達成は遠くないと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度には当初の計画を変更して酸化物系強磁性体を利用する研究にシフトしたために磁性材料の購入やプロセス用の薬品などの購入量が抑えられた。その結果120万円ほどの未使用額が生じたが今年度は新たにYIG系磁性絶縁体を基盤とする素子を作製する中でYIG基板の購入や高価な分子材料の購入を計画しており、今年度の経費として併せて実施する。
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Research Products
(2 results)