2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白石 誠司 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30397682)
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Keywords | 分子単結晶 / スピンポンピング / 逆スピンホール効果 / スピン輸送 |
Research Abstract |
初年度は金属磁性体をスピン源とするスピンポンピングに際して、スピン注入には伝導度ミスマッチが回避されているもののスピン注入を証明するための電圧計測に際して、逆スピンホール効果で発生した電流が金属磁性体にバックフローするという別種の伝導度ミスマッチ問題があることが様々な実験から理解された。そのためまず原理的にどの程度の伝導度差でもスピンポンピングによる純スピン流生成ができるかを確認するために非縮退領域にあるp型Siを用いてパイロットデバイスを作製、実験を行い、室温におけるスピン輸送とスピンコヒーレンスの精密評価を行うことができた。成果はPhysical Review Letter誌に掲載されEditor's Suggestion及びSpotlighting Exceptional Researchに選定されたほか、日刊工業新聞・読売新聞など多くのメディアに掲載された。ここで確立した手法を基に分子系に回帰し、ゼロギャップ半導体である単層グラフェンへのスピンポンピング及び純スピン流生成を試み、これにも成功した。成果はPhysical Review B誌にRapid Communicationsとして掲載されたほかEditor's Suggestionにも選定された。このように初年度での基礎実験をベースに多くのエポックメイキングな成果を挙げることに成功したほか、従来のスピンポンピング法では知られていなかった強磁性金属そのものが自発的に出す逆スピンホール効果を発見するなど大きなブレイクスルーを達成することができた。
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