2011 Fiscal Year Research-status Report
原子層堆積法による室温強磁性強誘電体人工超格子の成長
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23656022
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
坂間 弘 上智大学, 理工学部, 教授 (10242017)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マルチフェロイックス / 強誘電体 / 強磁性体 |
Research Abstract |
ビスマスをAサイトに持つBiペロフスカイト遷移金属酸化物の人工超格子によって、室温以上で強磁性と強誘電性を併せ持つ物質を作製することを目的として研究を行った。過去に用いたPLD法では、わずかな膜厚の超格子しか作製できず、理論的予測値の半分しか磁化が得られなかった。それは、PLD法を用いる場合、RHEED振動で単原子層ごとの成長を確かめなければならないため、成長に従って表面の平坦性が悪化した場合それ以上の成長が不可能になり、また成長温度が500℃以上と高いため超格子中の原子が拡散し、特に2種類のBサイト金属イオン(ここではFe3+、Cr3+)が(111)面に垂直な方向に交互に配列する秩序が破壊されるためである。そこで、本研究ではそのような恐れの少ないALD法を製膜方法として選び、膜厚と磁化の増大を目指した。それによって膜厚と磁化及び電気分極が実用化可能な水準まで達成できれば、電気磁気効果を利用した電圧駆動の高速低消費電力磁気デバイス、MRAM、磁気光学素子、スピントロニクスデバイス、大容量4値メモリーなどが実現性を帯びると考えられる。ALD法はさまざまな特徴をもつが、本研究では特に基板や超格子表面が必ずしも原子レベルでの平坦性を持たなくても単原子層ごとの成長が可能である、低温成長が可能であるといった点が強みになる。しかし、ALD法は主に半導体デバイス用の誘電体薄膜の成長に用いられてきており、本研究のような目的で使われた例はほとんどないため、全く新しい試みとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALD法は主に半導体デバイス用の誘電体薄膜の成長に用いられてきており、Biペロフスカイト遷移金属酸化物の成長に使われた例はほとんどないため、過去のALD法による研究報告を参考にできない。原料の選択なども含めてすべてゼロからのスタートとなった。初年度は、最初の試みとして超格子を構成する一方のBiペロフスカイト遷移金属酸化物であるBiFeO3をALD法で原子層成長することを試みた。そのために、プレカーサーとして利用できる可能性のある1種類の原料を試した。具体的には、Bi原料としてはBi(thmd)3を、Fe原料としてはFe(acac)2である。その結果、基板温度300~350℃において、BiFeO3の単層成長に成功した。ただし、膜厚が約100nmを超えると組成ずれが生じ、また平坦性が悪化し構造が3次元化することがわかった。さらに、電気的測定を行った結果、かなりのリーク電流が認められた。これらは、原料が低温で比較的分解しにくいため、分解し残った分子が超格子中に取り込まれたこと、基板上での分解速度が小さいことが原因ではないかと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果を踏まえて、初年度に試した原料では期待したBiFeO3の成長は十分に行えないと判断し、新たな原料を模索する。100%確実な原料は存在しないが、有力な候補として、Bi原料にBi(Ph)3、Fe原料にFe(Cp)2を試す。そして、本年度中に化学量論的かつ十分な膜厚をもつBiFeO3薄膜をALD法にて達成する。さらに、超格子を構成するもう一方のBiペロフスカイト遷移金属酸化物であるBiCrO3薄膜の成長に挑戦する。現時点で予定しているCr原料はCr(Cp)2である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
プレカーサー原料費、具体的にはBi原料としてのBi(Ph)3、Fe原料としてのFe(Cp)2、及びCr原料としてのCr (Cp)2購入費に用いる。市販されている薬品から選ぶ。また、それらを入れる容器を購入する。
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Research Products
(1 results)