2013 Fiscal Year Annual Research Report
原子層堆積法による室温強磁性強誘電体人工超格子の成長
Project/Area Number |
23656022
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
坂間 弘 上智大学, 理工学部, 教授 (10242017)
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Keywords | 強磁性強誘電体 / エピタキシャル / 磁気材料 / 誘電体材料 / 超格子 |
Research Abstract |
ビスマスをAサイトに持つペロフスカイト遷移金属酸化物であるBiFeO3の薄膜によって、環境に有害な鉛を含まない強誘電体を開発することを目的として研究を行った。特に、本研究ではALD法を製膜方法として選び、BiFeO3の層状成長を目指した。ALD法では、基板や超格子表面が必ずしも原子レベルでの平坦性を持たなくても単原子層ごとの成長が可能である、低温成長が可能であるといった点が強みになる。しかし、ALD法は主に半導体デバイス用の誘電体薄膜の成長に用いられてきており、本研究のような目的で使われた例はほとんどないため、原料の選択なども含めてすべてゼロからのスタートとなった。 最初は、金属原子を1種類だけ含むBiとFeの酸化物の薄膜を作製した。Bi原料としてはBi(thmd)3を、Fe原料としてはFe(acac)2を用いた。しかし、これらの原料は低温で分解しにくいため分解し残った分子が薄膜に取り込まれ、また基板上での分解速度が小さいために組成ずれや不純物などを生じた。そこで、次により低温で分解しやすいBi(Ph)3、Fe(Cp)2を試した結果、基板温度250~350℃において、BiとFeの酸化物の薄膜の層状成長に成功した。そして、これらの原料を組み合せることによって目的のBiFeO3薄膜の層状成長にも成功した。本研究では、さらに一歩進んで同様のBiペロフスカイト遷移金属酸化物であるBiCrO3薄膜の層状成長をALD法で行い、最終的にはBiFeO3とBiCrO3の人工超格子を作製する予定であったが、BiFeO3の層状成長を実現することが予想以上に困難であったためにそこまでたどり着けなかった。今後は、本研究で得られた成果を基に、さらに研究を前進させてBiFeO3とBiCrO3の人工超格子作製を実現したいと考えている。
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Research Products
(2 results)