2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656023
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
前田 真吾 芝浦工業大学, 工学部, 助教 (40424808)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ゲル |
Research Abstract |
これまで申請者は、自発的に秩序を生成する化学反応系として、化学振動として知られるBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応と高分子ゲルがカップルさせることで、自発的に力学振動を生成する系について研究を行ってきた。本研究では、高分子ゲルの自発的運動に関して、ミクロな分子レベルの変化がどのようにマクロな現象に影響しているのかを明らかにすることを目的とした。温度をパラメータとして、振動反応によって高分子ゲルの体積振動の挙動がどのようになるか検討した。本実験では、ミクロ相分離したゲルとミクロ相分離していないゲルについて検討した。ミクロ相分離したゲルとミクロ相分離していないゲルにおいて力学的な挙動が全く異なることが明らかとなった。ミクロ相分離した高分子ゲルと通常の高分子ゲルは、約27度で体積相転移現象を示した。しかし、通常のゲルは27度以上では振動現象が観察されなかったが、ミクロ相分離したゲルは27度以上においても体積振動を観察することができた。SEMなどを用いて高分子ゲルの内部構造を観察した結果、ミクロ相分離したゲルは特徴的なミクロドメイン構造間の距離が膨潤状態と収縮状態で異なることが明らかとなった。ミクロ相分離しているゲルとミクロ相分離していなゲルにおいて、ゲルの膨潤に関する有効拡散係数を実験的に算出したところ、10倍以上の差があることがわかった。したがって、化学振動と体積振動に関して、ゲルの膨潤・収縮のダイナミクスが非常に重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで申請者が研究を行ってきた、Belousov-Zhabotinskyとカップルした振動ゲルに関して比較的高温領域においても振動することが明らかとなり、その原因がゲルの内部構造とゲルのキネティクスに起因することを実験的に明らかにした。現在、この挑戦的萌芽研究において実施多研究成果を論文として投稿準備中の段階となっている。また、この研究成果により、振動ゲルを用いた応用デバイスに関する例も、開けるであろうと考えている。実際に、生体の体温の領域でも十分に駆動することが可能であることが、実験的にも示されており、医療応用への展開も考えられるものであり、研究は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ミクロ相分離した高分子ゲルとBelousov-Zhabotinsky反応がカップルした系に関して、力学モデルについて検討する。これまで、申請者は研究協力者である秋元琢磨博士(力学系理論)と研究に関する議論を行ってきており、実験データを元に理論について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には、成果発表(国内・国外の学会、論文党綱領)・実験用の消耗品(試薬・ガラス器具類、ソフトウェア)などに関して主たる研究費となる。
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Research Products
(2 results)