2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656024
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
鶴岡 徹 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (20271992)
|
Keywords | 原子スイッチ / 高分子 / フレキシブルデバイス / インクジェット印刷 / ナノイオニクス |
Research Abstract |
市販のピエゾ式インクジェットヘッドに,基板加熱機構,電動ステージ,液滴および基板表面観察用CCDカメラ等を装備したポリマー印刷装置を構築した。まず,ポリエチレンオキシド(PEO)の塗布条件最適化を行った結果,最も大きいノズルサイズのインクジェットヘッド(3nL)を用いたときの最大塗布可能分子量は2万であった。この結果を元に,PEOと数%の過塩素酸銀をアセトニトリルに溶解させた高分子電解質溶液を作製し,インクジェットヘッドの電圧印加条件を決定した。次に,ポリエチレンナフタレート(PEN)基板上に白金電極を形成し,その上への電解質溶液の最適な塗布条件を探った。その結果,PEN基板と白金電極の表面エネルギーの大きな差により,基板上に広がった電解質溶液は乾燥過程で白金基板上に凝集することがわかった。この表面エネルギーの差を利用すれば,白金電極を包むように電解質膜を塗布できる。この電解質膜上に銀電極を蒸着して素子を作製した。両側をPt電極で挟んだ素子の温度依然性と詳細に比較した結果,観測された抵抗スイッチは陽極界面の銀のイオン化,PEO中の銀イオンの伝導,そして陰極界面上での核形成による銀フィラメントの形成と溶解に起因することがわかった。我々はこの素子を,ポリマー原子スイッチと呼ぶことにした。スイッチ動作電圧は真空中よりも大気中の方が少し低くなった。これはPEOの水分吸収の影響が考えられる。さらに,PEN基板を曲げてもスイッチ特性は変化しないことを確認した。これはポリマー原子スイッチがフレキシブルエレクトロニクスに応用可能であることを示唆している。
|
Research Products
(5 results)