2011 Fiscal Year Research-status Report
マルチフェロイックBiFeO3膜をもちいた室温動作可能な電界制御磁気メモリの創製
Project/Area Number |
23656025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永沼 博 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60434023)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | マルチフェロイクス / BiFeO3 / 電気磁気効果 |
Research Abstract |
本研究の最終的な目的は、界面構造制御をした強磁性/BiFeO3二層膜を作製し、BiFeO3層への電界印加により強磁性層の磁化方向の反転を室温で実現させ、次世代の電圧駆動型磁気メモリを創製することである。申請時当初、平成23年度は、r.f.マグネトロンスパッタリング法により高品質なBiFeO3エピタキシャル膜をSrTiO3(100)基板上に作製し、BiFeO3/CoFe二層膜を作製し、微小ドット形状に電子線リソグラフィーをもちいて微細加工を行うことを計画していた。r.f.マグネトロンスパッタリングにより製膜するとき、1製膜ガス圧とガス種、2製膜温度の二つ条件を系統的に調べた。その結果、Arガスに少量のO2ガスを加えることでBiFeO3以外の異相の形成を抑制できることがわかった。また、ガス圧は0.1-0.13Pa程度のときBiO2などの異相の形成を抑えることができた。一方、製膜温度については、450℃以上のとき結晶化がはじまり、温度の上昇とともに結晶粒の成長が確認された。また、結晶化したすべての試料においてBiFeO3はSrTiO3(100)基板上にエピタキシャル成長していることをX線回折(φ-scan)および透過型電子顕微鏡により確認した。X線逆格子マッピングにより結晶の対称性について詳細に調べたところ、基板温度が550℃のとき菱面体晶、600℃のとき正方晶となっており、製膜温度により結晶の対称性を制御できることがわかった。本研究では、菱面体晶の対称性を利用した電気磁気効果を利用するため、製膜温度は550℃が最適であることがわかった。表面平坦性を原子間力顕微鏡で調べたところ、表面平均粗さが0.5nm以下であり、平坦な表面が形成していることがわかった。平成24年度は、CoFeをBiFeO3上に製膜し、その磁気特性について調べる予定にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災の影響により電子線リソグラフィー装置の調整に時間を要したことが原因であるが、現在は復旧しており、震災前と変わらない性能を発揮していることから、平成24年度の前半で遅れを取り戻せる計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、BiFeO3/CoFe二層膜の交換結合を観察し、微細加工によりドット形状に加工したときの交換結合磁界について磁気間力顕微鏡をもちいて直接観察を行う。また、圧電応答顕微鏡により、BiFeO3の強誘電性についても同時観察する予定である。これらの実験の後、電界をドットに印加したときの磁化の変化について観察し、室温で明瞭な磁気電気効果を観測する。既に、プローブ顕微鏡については、平成23年度にセットアップが終了し、試験的な観察を標準試料を用いて行っているため、平成24年度は円滑に実験を開始できる準備は整っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、微細加工およびプローブ顕微鏡による観察実験を中心に行う計画にある。平成24年度は、加工および観察の消耗品を中心に研究費を計上している。また、本助成により得られた集大成を学会等で発表する計画にある。
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