2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラスフラックスを介したSiC単結晶の気相成長法の開発
Project/Area Number |
23656028
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 祐司 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (60302981)
|
Keywords | SiC / フラックス成長 / 薄膜 / 金属ガラス / エピタキシー |
Research Abstract |
H24年度は、まず、前年度にレーザー加熱型の真空レーザー顕微鏡で観察を行った4H-SiC単結晶上にPLD堆積したPd基Pd42.5Cu30Ni7.5P20の金属ガラス薄膜(膜厚~200nm)について、環境制御型電子顕微鏡(ESEM:FEI社製)を用いて、より分解能の高い視野で熱挙動観察を行い、その相分離過程について調べた。観察条件は、100PaのN2ガス雰囲気下で、20~25℃/min.で1100℃まで昇温した。その結果、よりミクロな観察範囲において、融解した金属ガラスのぬれ性は、Si面よりもC面のほうが高かった。また、Si面では、850℃~930℃にかけて、液滴形状が6角形になり、内部変態による結晶成長が金属ガラス液滴内で生じた。これに対し、C面では、800℃あたりからSi系相の成長が示唆された。このようにPd基の金属ガラスをSiCの薄膜成長にフラックスとして用いるには、観察された内部変態や相成長の抑制が必要と結論された。 一方、SiCの結晶薄膜の成長における金属フラックスの効果を実証するために、金属ガラスではないが、 Ni-Si系のフラックスを用いて、1100℃でSiCの薄膜成長を試みたところ、フラックスの使用により、結晶グレインサイズの大幅な拡大と表面平坦化が達成される事を明らかにした。この結果から、 バルク単結晶のフラックス成長と同様、気相薄膜成長においても同様のフラックス効果があることを示しており、今後低融点の金属ガラスをフラックスとしてもちいることで、より低温で単結晶品質のSiC薄膜を作製出来る可能性が示唆された。
|