2012 Fiscal Year Annual Research Report
原子間オージェを利用した特定表面原子に結合する原子の決定、吸着状態分析法の開発
Project/Area Number |
23656036
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
間瀬 一彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (40241244)
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Keywords | オージェ電子分光 / 光電子分光 / コインシデンス分光 / 表面分析 / 原子間オージェ |
Research Abstract |
現在、特定の表面原子に結合する原子を決定する手法、結合状態を分析する手法は少ない。たとえば、シリコン(100)清浄表面に吸着した一酸化炭素(CO/Si(100))ではSiと結合している原子がCかOか、分子状吸着か、原子状解離吸着かを決定するには、振動分光と電子分光、理論等から総合的に判断する必要がある。本研究では原子間オージェ電子を検出して直接分析する手法を開発する。COのCとSiが結合している場合、C 1sをイオン化すると、Si 2p内殻電子がC 1s内殻正孔に遷移し、別のSi 2p電子が放出される原子間オージェが起きると期待される。Si 2p正孔はさらにカスケードオージェにより緩和して、4正孔を生成し、クーロン反発により、CO+が脱離すると期待される。そこで、C 1s光電子-原子間オージェ電子コインシデンス分光を行なえば、SiとCが結合しているかどうか直接検証できる。さらに原子間オージェ電子-光イオンコインシデンス分光を行なえば、COが分子状で吸着しているか、解離してC-Si、O-Siという原子状で吸着しているかを分析できる。しかしながら、このような原子間オージェ過程は気相分子では報告されているものの、表面では研究例が全くない。そこで、我々は、光電子と原子間オージェ電子、あるいは原子間オージェ電子と光イオンの同時測定を行なうことにより特定の表面原子に結合する原子を特定し、結合状態を分析する手法を開発するために、高感度のオージェ電子-光電子コインシデンス分光、電子-イオンコインシデンス分光兼用分光器の製作を行なった。その結果、コインシデンスシグナル係数率を従来の10倍以上に改善することができた。しかし、バックグラウンドも同様に増えたため、シグナル/バックグラウンド比は改善せず、原子間オージェの観測はできなかった。本装置を用いてSi 2s内殻緩和緩和の研究を行なった。
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