2012 Fiscal Year Research-status Report
高強度レーザー場中の分子の時間依存配置間相互作用法の開発
Project/Area Number |
23656043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石川 顕一 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 健 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30507091)
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Keywords | アト秒科学 / 高強度場現象 |
Research Abstract |
超短パルス高強度光源を用いて電子の運動を直接観測・操作するアト秒技術が急速に発展している。とくに実験の精密化にともない、有効一電子描像を超える多電子・多チャンネルダイナミクスや電子相関への関心が高まっている。 本研究では、まず、アト秒極端紫外(XUV)光パルスによる励起ヘリウム原子(1s2p)の1光子電離における、イオン状態の時間変化とそこにおける電子相関の役割を、1次元および3次元の時間依存シュレーディンガー方程式(TDSE)シミュレーションによって研究した。イオン化の進行過程には、いくつかの時間スケールがあることを見出した。特に、200アト秒以降では準位間のポピュレーション移動が起こる。「内側から出ていく電子」が「残る電子」に衝突するノックアップ現象のためである。ノックアップによる量子状態の変化はカスケード的に起こる。 TDSEは多電子系への応用は困難である。強レーザー場中での多電子ダイナミクスの第一原理計算を可能にするため、TD-APSG法とTD-CASSCF法という新しい手法の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強レーザー場中の多電子ダイナミクスを第一原理的に計算する柔軟な手法であるTD-CASSCF法の定式化に成功し、1次元モデル系でその有効性を実証しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した様々な手法を他の1次元モデルに適用する。ボーム粒子を用いた多電子相関の解析を行う。また、3次元コード開発への道筋をつける。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文投稿料、国内外の学会での成果発表のための出張旅費・参加登録費など、成果発表・とりまとめを中心に使用する。
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