2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656052
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00225070)
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Keywords | 液晶 / コロイド粒子 / 光ピンセット / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では,従来の水などの等方的な媒質(溶媒)の代わりに異方性液体である液晶を用い,液晶中のコロイド粒子間に働く長距離かつ異方的な相互作用を利用することにより,コロイド粒子の3次元自己組織構造の作成および制御を目指した基礎的研究を行った。平成24年度に得られた知見は以下のとおりである。[1]粒子間力の測定法として昨年度用いた2ビーム光ピンセット法に代わって、光ピンセットを用いて粒子を離した後に外場を切り、粒子の接近速度から粒子間力を求めるフリーリリース法を用いた測定を行った。この方法は簡便であるが、粒子間距離が小さくなると粒子間にある液晶の潤滑作用により斥力が発生し、正確な測定が困難となる。本年度は粒子間の流体力学相互作用を考慮して解析を行なうことで、光ピンセット法と矛盾しない結果を得ることに成功した。[2]双極子とは異なる対称性を有する粒子を作成して、異種粒子間の相互作用を測定し、シミュレーションにより得られた結果と極めてよい一致を示すことがわかった。さらに、粒子を液晶の配向方向に対して斜めから接近した場合の粒子間力を測定することで、粒子間力の異方性に関する情報を得ることに成功した。[3]セル中の高さの違う位置に2次元結晶を作成し、それらを積層することで3次元結晶の作成を試みた。しかし、従来認識されていないセルの界面と粒子表面での液晶配向に依存した壁面相互作用が存在すること、セル厚が厚いと稠密な2次元配列が不安定になり、幅の小さな帯状の2次元結晶のみが安定化することを発見した。このため2次元充填結晶を作成するためにはセル厚と粒子サイズがほぼ同程度でなければならないことが明らかとなった。[4]等方相において粒子凝集体を熱泳動効果を用いて作成した後にネマチック相へ急冷する方法により、ランダムな扁平状3次元凝集体の作成には成功したが、現段階では粒子配列の制御には成功していない。
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Research Products
(9 results)