2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656055
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡嶋 孝治 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (70280998)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 細胞診断 / 細胞レオロジー |
Research Abstract |
本研究は、究極のがん早期発見技術と言っても過言ではない単一細胞のがん化を診断する技術の開発を目的としている。これを実現するために、低侵襲、かつ精密に細胞力学を計測することが可能である、原子間力顕微鏡(AFM)技術を用いる。AFMと細胞マイクロアレイ技術を併用して、多数細胞の粘弾性(レオロジー)計測が可能なAFM装置の開発を行う。挑戦的な内容として、2年間の研究期間において、(1)超多数細胞を計測する技術の開発、(2)正常細胞とがん細胞のレオロジー統計解析、および(3)臨床応用を指向したAFM細胞診断装置の開発を行うことを目目指して、正立型光学顕微鏡をベースにした、新しい細胞計測用のAFM装置の開発を行った。本装置の仕様として以下の特徴をもつ:高周波数帯域のレオロジーを実現するために、小型カンチレバーを使用可能。正立型光学顕微鏡の光学系を使用し、パッチクランプ測定等に用いられる水浸対物レンズを用いた光てこ計測システム。超多数細胞の計測を実現するために高性能モーターと広範囲スキャナーを組み合わせた走査システム。正立型光学顕微鏡の改造は、製造元と連携をして行っている。この連携のずれにより、本装置の開発にやや時間がかかっているが、その分、細胞試料調整を前倒しで進めることができた。次年度に、本年度の残りのAFM開発を完了した後、正常細胞と異常細胞の細胞レオロジー計測とその統計解析を行う見通しが立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
装置のトラブルにより、装置開発は遅れたが、次年度に予定していた、細胞試料調整を前倒しで進めることができ、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
AFM細胞診断装置の開発完了後、正常細胞と異常細胞の細胞レオロジー計測とその統計解析を行う。モデル細胞系として線維芽細胞の細胞種を用いる。本細胞種は、光ストレッチ法で過去に研究例が報告されたが細胞レオロジーの周波数応答やその統計性は不明である。細胞の複素弾性率のべき乗指数とニュートン粘性係数の統計解析から、正常細胞とがん細胞の統計分布とそれらの有意差を精密に明らかにする。さらに、正常細胞とがん細胞の細胞骨格特性は異なると予想されるため細胞骨格を変調する薬剤を導入し、細胞診断識別能を詳細に分析する。次に、生体内細胞の正常細胞とがん細胞の細胞レオロジー計測を行う。以上のように、コロイドプローブを装着したカンチレバーを用いた超多数細胞計測の解析により細胞診断法技術を開発し、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
AFM装置開発に必要な物品の購入、細胞試料調製に必要な薬品、AFM計測に必要な消耗品に充てる。そして、本研究で得られた成果発表および研究打合せの旅費、そして、論文添削費用、論文投稿料に充てる。経費の節減の結果生じた使用残について、当初の予定以上の正常細胞とがん細胞の診断計測の発展研究に使用する。
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Research Products
(4 results)