2011 Fiscal Year Research-status Report
表面弾性波の周期性を用いた直線・曲面変位および回転角度計測用デジタル式エンコーダ
Project/Area Number |
23656059
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大岩 孝彰 静岡大学, 工学部, 教授 (00223727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝間 淳一 静岡大学, 工学部, 准教授 (70447522)
近藤 淳 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10293606)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 変位計測 / 弾性表面波 / 櫛歯形電極 |
Research Abstract |
基板表面に弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を伝搬させ,この周期性を用いて変位計測を行う原理の変位センサ(ディジタル式エンコーダ)を開発する.基板上に弾性表面波発生用トランスデューサを設置するだけで弾性表面波が生成されるため,基板上に等間隔ピッチの目盛線や磁気パターンを作成するなどの加工が一切不要であり,また弾性表面波は曲面形状の基板表面上も伝搬するため,このような面に沿った変位計測が可能となる.準備段階では波長λ=4mmの予備実験を行い,50mmの測定距離に亘って変位の計測が可能であることを確認している.本研究計画では,まず高分解能化に取り組んだ.使用するSAWデバイスの材料として圧電材料(二オブ酸リチウム)を用いるが,伝搬速度は3980m/sであり,波長を従来のものの1/25程度を設計するためにλ=160μmとすると,加振周波数は約25MHzとなる.対数20の櫛歯電極パターンをCADを用いて設計し,マスク作成したのち,t0.5×18×20mmの圧電基板上に櫛歯電極を作成した電極の材質はアルミ,厚さは0.56μmとした.次に,作成したSAWデバイスからSAWが励振されているかを確認するためにネットワークアナライザを用いてSパラメータを計測し,25.35MHzで弾性表面波が最も効率良く励振されていることを確認した.次に,2つのSAWデバイスを接触させて片側の送信用デバイスを正弦波信号で励振した.もう片方の受信用デバイスからは同じ周波数を持つ正弦波信号が検出されたことから,弾性表面波が伝搬していることが確認できた.さらに送信用と受信用のデバイス間の距離を変化させたところ,受信側の正弦波信号の振幅が周期的に増減したことから,櫛歯電極の波長を短くしたデバイスにおいても距離の計測が可能であることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
弾性表面波デバイスの作成には学内の共同利用設備であるフォトリソグラフィ装置を用いた.本設備の使用には予約が必要であり,繁忙期には長期間に亘って予約が困難であったため,デバイス製作が迅速に行えなかった.また本デバイスでは電極を摺動させるために通常の電極厚さより厚めとしたため,エッチング等の条件設定に手間取った.結果として,デバイスの作成が遅れたため達成度が低くなった.ただし,製作条件が確定できたので,次年度からの製作は容易に行えると予想される.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に作成したデバイスを用いて実験を進める.まず平面的および曲面状の基板上の変位計測の可能性を確認する.さらに計測精度の検証を行う.電極間隔が40μmなので,当初は10μm程度の計測分解能を目指す.新規デバイス作成が必要となり,共同設備のフォトリソグラフィ装置の早期予約が困難な場合は,当該装置以外の方法を検討する.例えば,比較的波長の大きな電極を作成し,実験を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
櫛歯電極を作成するための材料や実験のための機械部品や電子部品など,消耗品が必要となる.また研究成果を国内で発表するための旅費を支出する.
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