2011 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブの磁場中自励振動現象の解明とナノセンシングへの応用
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23656060
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 弥八 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90144203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安坂 幸師 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50361316)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電界放出 / 電子放出 / 振動 / 透過電子顕微鏡 / 静電気力 / ローレンツ力 |
Research Abstract |
初年度は透過電子顕微鏡(TEM)内で単一のカーボンナノチューブ(CNT)からの電界放出(FE)と自己振動の相関関係について調べ,以下のことを明らかにした。1.自己振動のFE電流および電圧依存性: 33本のCNTエミッタのうち自己振動を起こしたのはわずか3本であった。自己振動の誘起とFE電流あるいは印加電圧との相関関係を調べたところ,振動開始条件は電流にも電圧にも依存しないことが分かった。振動したCNTエミッタにおいては,振動開始電圧とCNTの直径には比例関係は見出されたが、CNTの長さの効果は見られなかった。2. CNTエミッタの対向電極に対する角度の効果: 振動励起に及ぼすCNTエミッタの対向電極に対する向きの効果を調べた結果,電圧印加により,すなわち静電気力を加える事により,CNTが約50°以上偏向する場合にFEした状態で振動することが分かった。3.円錐運動の観察: これまでCNTの振動は平面内で起こっているものと考えられていたが,実は,円錐運動する場合もあることを見出した。電圧印加によるCNTの振動現象は非常に複雑であることを示している。4.FE中の自己振動とFEなしでの自己振動の比較: FEなしの状態で起こる振動とFE中の振動とは,その電圧依存性などがの挙動が明らかに異なり,それぞれ別の原因によることが明らかになった。FEなしで起こる振動は,CNTに掛かる静電気力とCNTの復元力が原因であり,一方,FE中に起こる振動ではCNTを流れるFE電流が,TEM対物レンズの強い静磁場によりCNTがローレンツ力を受けることが,振動の原因の一つである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では,電流時間変動のスペクトル解析と走査電子顕微鏡中での振動測定の準備までを行う予定であったが,TEM中で単一CNTをマニピュレーションする特殊試料が断線する事故が起きたことと,TEM中での電界放出と振動計測が非常に熟練を要する困難な実験であったため,計画より遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
試料ホルダーの修理を完了し,実験に熟達することにより,電流時間変動のスペクトル解析を行う。また,磁場の影響を排除できる走査電子顕微鏡中での振動観察を行うステージを次年度の中頃までに作製し,当初の研究目的を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度への繰越額はない。初年度の計画調書に従って使用する予定。
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Research Products
(3 results)