2012 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの磁場中自励振動現象の解明とナノセンシングへの応用
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23656060
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齋藤 弥八 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90144203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安坂 幸師 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50361316)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電子放出 / 振動 / 電子顕微鏡 / 電界 / 磁界 / ローレンツ力 |
Research Abstract |
最終年度は,透過電子顕微鏡(TEM)内での実験に加えて,走査電子顕微鏡(SEM)内での単一のカーボンナノチューブ(CNT)からの電界放出(FE)の実験を行い,自励振動の有無を調べ,以下のことを明らかにした。 1.TEM中での電界放出における自励振動:CNT電子放出中の自励現象をTEMその場観察により,CNT電子エミッタの自己振動が誘起されるための印加電圧あるいは放出電流には特定の閾値を見出すことはできなかった。印加電圧や放出電流よりも,CNTエミッタの対向電極に対する相対的な角度が重要であることが分かった。つまり,CNTが電界の作用により50°以上屈曲する場合に限り、CNTの自励振動現象が観察された。 2.SEM試料室へのCNT電界放出実験用ステージの作製:SEM試料室にCNTエミッタと対向する電極を備えたFE実験用の試料ステージを作製し,これを試料台に組み込み,FE中のCNTのSEMその場観察を可能にした。 3.SEM中での電界放出実験の結果:TEM中での実験において,CNTエミッタと対向電極の間の角度が重要であるという結果を踏まえ,SEM中にCNT電子放出のその場観察実験を行った。TEMにおいては,観察試料であるCNTエミッタは静磁場を持つ対物レンズ内に入れられるのに対して,SEMにおいては,試料は対物レンズの外に置かれていることから,TEMに比べて,磁場の影響を大幅に低減できるという特徴がある。磁場強度の弱いSEMにおいては,電界印加によってCNTを50°以上に屈曲させても,TEM中での実験とは異なり,CNTの自励振動は観察されなかった。これらの結果の比較からCNTのFE中の自励振動には磁界が深く係わり,CNTを流れる電流と静磁場によるローレンツ力が振動の原因の一つであることが示唆された。
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Research Products
(2 results)