2011 Fiscal Year Research-status Report
半導体微粒子を高分散担持した鎖状化合物による新規光蓄電池の創製
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23656062
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栗焼 久夫 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (50178109)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 光蓄電池 / 蓄電池 / インターカレーション / 太陽電池 |
Research Abstract |
光触媒性半導体超微粒子FeS2を高分散に担持した鎖状化合物(1次元物質)KFeS2を電極とした電池において、我々は金属イオンの光インターカレーションを利用した光蓄電池の実現を目指している。ここで光蓄電池とは1つの電極上で光エネルギーを電気エネルギーに変換し、かつ蓄電できる電池である。このような光インターカレーションを利用した全く新しい動作原理に基づく光蓄電現象は実現されておらず、また光蓄電池の開発が期待できる。 FeS2 /KFeS2複合材料電極を作用極、またCuを対極として、Cuイオンを含む電解液で電池を構成した。複合材料電極への光照射中に、起電力は増大していくが、光照射を停止すると自己放電せずに起電力を保持することがわかった。また、光照射時間に比例して蓄電量が増大することもわかった。これらのことから電極を構成する鎖状物質KFeS2へのCuのインターカレーションが光照射によって生じ、これによって蓄電できる光蓄電池が実現していると考えられる。 また他の金属イオンによるインターカレーションを検討したところ、Kのインターカレーションによる光蓄電も観測された。またCuよりKインターカレーションを用いた光蓄電池の方が光蓄電量は向上した。さらに光蓄電量を向上させるためには電極の多孔質化が有効であることが示された。 またX線回折測定やサイクリックボルタンメトリーなどの電気化学測定から、鎖状物質KFeS2のFeS2鎖間への金属イオンのインターカレーションが生じることで蓄電していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FeS2 /KFeS2複合材料電極への光照射中にのみ起電力は増大し、光照射を停止すると自己放電せずに起電力を保持した。また光照射時間に比例して蓄電量が増大することがわかった。これらの実験結果から本系は光蓄電池として機能していると考えられる。 これは光触媒性半導体超微粒子FeS2を高分散に担持した鎖状化合物KFeS2への金属イオンの光インターカレーションによる光蓄電を動作原理とした初めての光蓄電池であると考えられる。またその光蓄電量も金属イオンの選定、電極表面の改質などで向上することがわかった。これらのことから初年度の研究目標はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年に得られた結果を基にして、最終年度である24年度は光インターカレーション現象、光蓄電メカニズムの解明を行い、新規光蓄電池のプロトタイプ作製を試みる。(1)メカニズムの解明種々の実験による着実なデータの積み重ねの上に立脚した光インターカレーション現象、および光蓄電メカニズムの解明に挑む。(2)新規光蓄電池のプロトタイプの作製前年度までの電極材料の合成プロセスの確立をもとに、実際に小型光蓄電池のプロトタイプの作製を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光蓄電池のメカニズム解明のため、電池としての基本測定であるサイクリックボルタンメトリー、定電流充放電特性などの測定を行う。このためには電気化学測定装置関連品、および電解液、電極類などが必要となる。 新規光蓄電池のプロトタイプ作製のためにはFeS2/KFeS2複合材料膜作製のための原料、透明電極、電解液、基板類などの消耗品が必要となる。 投稿論文費、大学院生による実験補助費、国内外での学会発表のための出張費・滞在費が必要となる。
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Research Products
(4 results)