2011 Fiscal Year Research-status Report
非構造化メッシュ上のボロノイ格子差分による構造保存数値解法
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23656070
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
降籏 大介 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (80242014)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 偏微分方程式 / 構造保存解法 / Voronoi 格子 / 局所保存則 / 大域保存則 / 離散変分導関数法 |
Research Abstract |
Voronoi 格子上における数学的性質そのものの調査・研究と,格子形状と微積分誤差等の関係を与える数学的理論の模索を行った.まず Voronoi格子上で成立する離散 Gauss--Green則(以下 GG則)の数学的性質の数学的な評価と定式化のために有限領域の Voronoi格子分割について特に境界補間の処理について調査検討を行い,一次近似と高次近似の特徴を評価した.一般に空間補間精度よりも境界補間精度を上げておくと数値解の精度が良いことが経験的にもよく知られているため,この評価は実用的である.また,Voronoi格子上に成り立つ数学的性質について GG則評価をはじめ有用な知見が既存文献等に存在する可能性を考慮し文献調査を行い,Hodge 作用素の離散化についての研究に関係がある示唆を見出した.外微分形式との関連性は以前より推測されており,この示唆は今後の発展に寄与する可能性が高い.また,予定通り,構造保存解法に対する研究交流のために値解法の専門家が集まる研究集会 SciCADE(International Conference on SCIentific Computation And Differential Equations) にて招待講演を行い他専門家との討論を行った.同様に2000名以上の応用数学研究者が集まる ICIAM(International Congress on Industrial and Applied Mathematics)でも講演を行い,Voronoi 格子上での計算における議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,計画初年度である平成23年度においては計画目標として大きく分けて以下の二つを挙げた. 一つは Voronoi格子上での局所保存則と函数補間についてその性質と精度についての調査および数学的な評価であり,また一つは Voronoi格子差分を用いての離散変分導関数法の実現について国際的な構造保存解法研究者に意見を求め,研究の進展を図るとともにこの研究の意義が奈辺にあるか広く確認をとることである.一つ目の目標については,Voronoi格子差分とその補間について十分な調査を行うとともに,離散化に伴い初めて数学的問題として出現する有限領域の境界補間の処理について,その問題としての認識と複数の離散化法を考案する結果を得ることが出来たことから,充分な達成を見たと認識している.また,二つ目の目標については,国際研究集会 SciCADE において招待講演を行い離散変分導関数法とその応用について広く議論を行うことができたこと,また,国際研究集会 ICIAM において有限体積法の専門家の講演において有限体積法と Voronoi格子差分の関係についての知見を得られたこと,自らの講演において主にフランスの応用数学研究者グループと同格子差分について議論を行い,提案手法の意義が高いことを確認できたことなどから,これも充分な達成を見たと認識しているものである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降は以下の計画を主に行う.まず,計画初年度の調査と研究結果を離散変分導関数法の一般化という形で導入を試みる.離散変分導関数法についてはこれまでに広範囲な研究を行っているが,自由格子上での差分法実装は未知の部分が多く実装には多くの困難が予想される.これらを丁寧に解決し,多くの偏微分方程式問題に対して離散変分導関数法による数値解法を提供するとともに数学的な性能評価を行い,数値計算を行う研究者に利益を与えることを目論む.具体的には,求解が困難な例の Cahn--Hilliard 方程式と保存系の例である非線型 Schr\"{o}dinger 方程式などを対象として研究結果を適用し,Voronoi格子上で大域散逸性$/$保存性を再現する差分スキームを構成,得られた差分解法の計算量および誤差の評価,および数値計算結果による数値評価を試みる.また,既存数値解法との比較を行い,離散変分導関数法による優位性を評価する.次に,一部完成している離散関数解析の結果を用いての Voronoi格子差分による数値解法の理論的評価を試みる.離散関数解析はまだ体系付けられた学問ではないため適用には困難があるが,関数補間と弱形式を通じて関数解析を理論基盤にもつ有限要素法が数学的に豊かな応用をみせているように,Voronoi差分と離散変分導関数法も同様の数学的な結果を持てる可能性がある.困難ではあるがこの可能性も探求する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の推進方策に沿って以下のように研究費を振り分け,使用する計画である.まず,非線形散逸型偏微分方程式の代表的な例としての Cahn--Hilliard 方程式と,同じく非線形保存型偏微分方程式の代表例としての非線形 Schr\"{o}dinger 方程式に対し,Voronoi格子差分を導入した離散変分導関数法に基づいて構造保存解法となっている数値スキームを構成し,そのスキームに基づいて適切な計算用 WS 等の上でスキームの具体的な評価を行う.このために一定の計算能力を有する WS の購入もしくは大型計算機の有償利用が必要になるため,そのために研究費用を主に物品費もしくはその他の枠として振り分ける.次に,こうして得られる数値スキーム一般の理論評価を試みるが,この実現には特に有限要素法の専門家との共同研究が適切と考えられるため,このために必要な研究集会開催の費用や旅費等を計上する.また,平成24年には,主に数値計算等における応用数学者の集まる国際研究集会 ICCAM(International Congress on Computational and Applied Mathematics)がベルギーで,同様の国際研究集会 ICNAAM (International Conference of Numerical Analysis and Applied Mathematics)がギリシャで開催されるため,この二つに参加して講演発表を行い,平成23年度同様に多くの知見を得ることを目的として予算を振り分ける.
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Research Products
(5 results)