2012 Fiscal Year Research-status Report
半正値四次形式の比の和で表される関数の最適化とその幾何学
Project/Area Number |
23656074
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
藤木 淳 福岡大学, 理学部, 准教授 (10357907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤穗 昭太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (40356340)
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Keywords | 4次形式 / 最適化 / 直線度 / 較正 / グレブナ基底 / 多項式最適化 |
Research Abstract |
平成24年度の計画は、平成23年度に達成することのできなかった平面上の正値4次曲線の極値計算手法をグレブナ基底や多項式最適化を用いて実現する手続に関する研究を行なうこと、及び2次形式の比であるレイリー商の和の最適化を実現する手続を微分幾何学を用いて明らかにする研究を行なう予定であった。 しかしグレブナ基底を求めるための計算手法の本質を理解するのは非常に難しく、具体的な計算例がアドホックとしか捉えられておらず、グレブナ基底や多項式最適化の手続のもつ幾何学的な意味を理解するにはほど遠いのが現状である。そのため当該研究課題の一つの柱である最適化の幾何学的な理解を実現するには、かなりの時間を要すると思われる。 そこでもう一つの柱である研究方法の工学的応用についての研究を進めることにした。具体的には平成23年度に引き続き、直線度に基づく画像の歪み補正(カメラの較正)についての研究を進めた。その過程において、特殊相対性理論のもとで進行方向に進むカメラの画像の光速度が有限であるために生じる画像の歪みが放射対称になることに着目し、画像の補正を行なうと同時に被写体とカメラの相対速度を推定する手法を提案した。提案手法は、コンピュータビジョンの国内最大のシンポジウムMIRU2012及び、日本物理学会年次大会において発表し、国内の研究者と議論を深めることができた。しかし、幾何学的理解に関する知見は得られなかった。 また研究方法の工学的応用として最適化問題の一つである点列の曲線や曲面をあてはめる問題についても研究した。この問題は凸最適化とはならなかったが最適化問題を理解する上で重要であり、提案手法は、情報処理に関するアジア最大の会議の1つであるICONIP2012において発表し、国外の研究者と議論を深めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
4次形式の大域的最適化の理論については、現在、ほとんど知られておらず、具体的な問題をグレブナ基底で行なうことが可能であることはつきとめたものの、その最適化を体系化して幾何学を理解するための糸口がつかめていない。やはりグレブナ基底や多項式最適化を利用した最適化の幾何学的意味を理解することが研究を進めるための鍵となることは間違いないと考えられるので、グレブナ基底や多項式最適化を理解することが先決であるとの理解に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、当初の予想よりもはるかに難しい研究課題であることが、この2年間の考察によって明らかになっている。しかし、グレブナ基底や多項式最適化に関する理解を深めることによって解決の糸口がつかめる可能性が高いことが突き止められている。そこで、まずグレブナ基底や多項式最適化に関する理解を深め、その幾何学的な意味を探ることを継続していく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属変更のために外勤で訪問可能であった国際会議を国内出張として参加することになったために確保していた旅費であったが、当該国際会議が別の国際会議と重なったことと研究の遅れから旅費を次年度に繰り越す必要が生じた。
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