2011 Fiscal Year Research-status Report
岩石のメカノルミネッセンスの機序解明と地震予知への展開
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23656075
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
祖山 均 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90211995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 岩石 / メカノルミネッセンス / 石英 / すべり摩擦 / X線回折 |
Research Abstract |
1. 極微弱光分光分析装置内で,別府産角閃石安山岩,兵庫県産玄武岩,高山産斑レイ岩,塩山産花崗閃緑岩,幌満産かんらん岩,竹野産流理構造流紋岩,白浜産砂岩,登米産粘板岩,白河産溶解凝灰岩を供試岩石として,断層の運動であるアスペリティ摩擦を模したすべり摩擦試験を行い,岩石からのメカノルミネッセンスを確認するとともに,発光量を定量的に評価した。また,花崗閃緑岩,角閃石安山岩,溶解凝灰岩,砂岩,流理構造流紋岩については,電子増倍機能付冷却CCDカメラにより,岩石の摺動時のメカノルミネッセンスの観測に成功し,発光領域を特定した。2. X線回折を用いて石英の(1 0 0)面からの回折強度を測定して,石英の含有量と発光強度の関係を調べた結果,花崗閃緑岩,砂岩,粘板岩,流理構造流紋岩は石英が多く発光強度が大であり,斑レイ岩,溶解凝灰岩は石英が少なく発光強度が小であることを明らかにした。3. 雰囲気ガスに,窒素,酸素,アルゴンを用いて,それぞれすべり摩擦試験を行った結果,窒素およびアルゴン中でもメカノルミネッセンスが確認された。また粘板岩と石英を供試材料として,雰囲気ガスに窒素,酸素,アルゴンを用いた場合,雰囲気ガスにより発光強度に差異が認められた。4. 負荷荷重を変えてすべり摩擦試験を行った結果,負荷荷重が大なるほど発光強度が増大することを明らかにした。また,動摩擦係数を計測して,発光強度と動摩擦係数の関係を評価した結果,動摩擦係数と発光強度には明確な相関関係がないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年度に予定していた岩石のメカノルミネッセンスの検証,岩石のメカノルミネッセンスの発光領域の検出などの研究項目を予定通りに実施することができ,第2年度に予定していた岩石のメカノルミネッセンスにおける雰囲気ガスの影響も明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 極微弱光分析装置内に,岩石の周囲のガス置換が可能な試験部を設置して,酸素,窒素,アルゴンガスなどの雰囲気ガスを用いて岩石のすべり摩擦試験を行って,岩石のメカノルミネッセンスの分光分析を行い,発光機構を解明する。2. 岩石の破壊時に生じる電磁ノイズの検出を試行して,電磁ノイズとメカノルミネッセンスとの相関関係を明らかにする。また破壊モードが異なる負荷試験を行い,その際に生じる電磁ノイズを検出して,破壊モードと電磁ノイズの関係を明らかにする。3. 大震災後に,断層に引張り応力が作用しているとの報告を受けて,引張り応力負荷での岩石の破壊を模した岩石破壊試験機を試作し,引張りによる破壊時のメカノルミネッセンスを極微弱光分光分析装置で評価する。以上の項目を実施して,実験室レベルでの岩石のメカノルミネッセンスの発生機構を解明し,地震光との相関関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として3,487円が生じているが,既に3月に納品が完了しており,4月に支払いが確定しているものである。
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Research Products
(2 results)