2012 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスマイグレーションの熱制御増速機構の解明と金属ナノ・マイクロ材料の大量創製
Project/Area Number |
23656076
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂 真澄 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20158918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 志遠 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70509710)
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Keywords | 金属ナノ・マイクロ材料 / ストレスマイグレーション / 熱サイクル試験 / 薄膜 / 大量創製 / 原子拡散 / 熱疲労 / ウィスカ |
Research Abstract |
最終年度は計画した研究を遂行し、以下の研究実績を得た。 1.原子排出への外部冷却の影響に関する調査実験 金属薄膜サンプルの底面をセラミックヒータで加熱しながら、上面を外部空気で冷却できる装置(ペルチェ素子冷却装置)を構築した。これを用い、異なる加熱温度における雰囲気冷却の付与が与える、金属原子排出への影響を調査した。その結果、底面の加熱と上面の冷却を同時に行うことで、垂直方向に生じる温度差により応力勾配が誘起され、より多くの原子を排出させることが可能であることを見出した。また温度差が高くなると、原子の排出量が増加する傾向も見られた。 2.原子排出への分布加熱の影響に関する検討 規則的な温度勾配分布を作る目的で、微細穴配列(穴直径:75マイクロ, ピッチ:150マイクロ)を持つ金属マスクを設計し、ハロゲンランプと組み合わせて分布加熱装置を構築した。これを用い、金属薄膜サンプルを加熱して表面観察を行った。その結果、温度勾配分布を作り出すためには、穴とピッチの寸法をより大きくする等のさらなる検討を要することがわかった。 3.効率的な原子排出制御 金属薄膜構造と熱処理条件を制御することで、金属原子を効率的に排出することを実現した。まず異なる膜構造を持つSn薄膜において、加熱前後のSn薄膜の表面変化を観察することにより、独立した島状構造または明瞭な粒界を持つSn薄膜においてヒロックが多く生成し、一方、連続的な島状構造を持つSn薄膜においてウィスカが多く生成することを明らかにした。次に、Ag薄膜において加熱温度を増加させることにより、生成するヒロックの個数と体積が増加することを確認した。さらに表面保護膜に微細穴をあけ、保護膜のあるところとないところの境界(穴の縁)下のAgに応力勾配を付与することで、生成するヒロックの個数と体積が増加することを確認した。
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