2012 Fiscal Year Annual Research Report
セル状構造のSMAによる高伸縮性と高発生力を有するリハビリ用人工筋肉の開発
Project/Area Number |
23656078
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 洋二 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (90313006)
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Keywords | 形状記憶合金 / セル構造 / 人工筋肉 / リハビリテーション / スマート構造 |
Research Abstract |
本研究では、障害者の指関節リハビリ用装具に適した、軽量・柔軟かつ無騒音な人工筋肉を、形状記憶合金(SMA)によって構築する。特に、SMAワイヤを加工してセル状構造にすることで、局所的な曲げ変形を分散発生させ、構造全体では軽量でありながらも、SMAの形状記憶効果(SME)によって、高い伸縮性と適度な収縮力を有した人工筋肉を設計する。 本年度は、実際にSMAワイヤでの人工筋肉の構築可能性を検証するため、昨年度FEM解析によって検討したSMAワイヤのうねり形状のうち、発生力は低いが高い伸縮性を示す波型形状を対象として、実際に波型形状の金型を作製し、SMAワイヤに形状記憶処理を行った。さらに、2本の波型形状SMAワイヤをスポット溶接で接合することで、複線セル構造も作製した。そして、これらの単線構造と複線構造に対して引張試験を実施したところ、直線状の単線ワイヤでは形状回復可能なひずみが5%程度であったのに対し、波型形状ワイヤでは、35%程度のひずみを与えても、加熱によって完全に元の形状に戻り、波型形状に加工することによる高い伸縮性を示すことができた。さらに、2本の複線波型セル構造においては、30%程度のひずみを与えた場合の回復力は、1本の波型ワイヤの場合に比べて約2.6倍も大きくなっていた。昨年度のFEM解析では、波型形状ワイヤを2本接合した場合、最大局所ひずみを低減できることが示されたが、本実験結果は、その基本的な原理と整合していると考えられる。 十分な実験的検討は実施できなかったが、昨年度のFEM解析結果の検証を行うことができ、昨年度のFEM解析結果と本年度の実験結果より、SMAワイヤのうねりの幾何形状やそのパラメータ、複線セル構造化を図ることで、極めて高い伸縮性と適度な収縮力を有した人工筋肉を実現可能であることが示された。
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