2012 Fiscal Year Research-status Report
通電解体性接着剤を用いた時限接着技術の実現と時限剥離ラミネートへの応用
Project/Area Number |
23656079
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 千明 東京工業大学, 精密工学研究所, 准教授 (80235366)
|
Keywords | 接着 / リサイクル |
Research Abstract |
本年度は,昨年度に引き続き,時限剥離ラミネートを実現すべく,通電剥離接着剤の剥離特性を実験的に調べた.具体的には,通電剥離接着剤で接合した金属試験片に対して通電を行い,その後の残存強度を測定した.本年度は,接着剤層が特に薄い場合や,通電電流が特に小さい場合について調べた.この結果,接着剤層の厚さは大きな因子ではないものの,被着金属間で接触による通電が起こり易く,その抵抗が大幅に低下するため,時限剥離ラミネートには適さないことが分かった.また,通電電流が特に小さな場合は,強度の低下が小さいことが分かった.すなわち,通電剥離を行うためには,通過電荷の総量だけでなく,電流の下限値も存在することが分かった. 本年度は,時限剥離ラミネートの試作も実施した.具体的には,アルミ箔の表面に,マイヤーバーを用いて通電剥離接着剤を薄く塗布し,その上に別のアルミ箔を置くことにより,ラミネートとした.また,この硬化は室温で行った.ただし,アルミ箔が柔軟であり,また接着剤の粘度が高く,表面張力も高いため,アルミ箔への塗布により,それがカールした.このため作成したラミネートには細かい皺が残った.この皺が,アルミ箔同士を接触させるため,抵抗の低下が生じ,通電剥離を阻害することが本研究で分かった. さらに本年は,各種接着剤の耐湿試験を行い,その耐久性を比較した.具体的には,被着体を接着剤で接合し,湿度下で曝露し,その残存強度を実験的に調べた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,時限剥離ラミネートの試作を実施できた.これは当初のスケジュールに概ね適合しており,研究の目的は概ね順調に達成できていると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究課題の最終年度であり,時限剥離ラミネートの実現に向かって鋸あされた課題を解決したい.具体的には,ラミネート試作法の改良,ならびにその剥離試験を実施する予定である.とくに,平滑なラミネートの制作は,研究目的を達成するために重要であり.24年度に実施した試作法を大幅に変更したいと考えている.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|