2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656080
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
秋庭 義明 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (00212431)
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Keywords | 薄膜 / 残留応力 / 結晶配向 / X線 / 放射光 |
Research Abstract |
銅薄膜の形成過程に着目し,膜厚変化にともなう膜特性を,放射光および実験室X線によって観察することから,薄膜の形成機構を検討し,以下のことを示した. (1) 直流法では,電流密度が低い場合に成膜時間の増加とともに結晶粒径が増大し,最大値をとった後に減少した.高電流密度ではばらつきが大きいものの,それとは逆の傾向を示した.パルス法では,低電流密度ではデューティー比が60%までは140nm程度の細粒が形成され,パルス法の有効性が認められた.電流密度が高い場合には,30%程度から粗大化が認められ,粗大化の閾値は電流密度に依存することがわかった. (2) 直流法およびパルス法いずれの場合でも,膜厚によらずに特定の方向への結晶配向は認められず,ほぼランダムに成膜することがわかった. (3) 顕著な結晶配向が認められないため,通常のX線応力測定が可能であったが,1μm以下の薄膜では,十分な回折強度が確保できず,残留応力は測定できなかった.2μm以上の膜に注目すると,直流法では,膜厚が約5μmの30MPaから,膜厚が24μmの-2MPaと,膜厚の増加とともに残留応力が減少した.この傾向は,電流密度を変化させた場合もほぼ同様で2μmから30μmまで徐々に残留応力が低下した.パルス法においては,高電流密度および低電流密度に対して,いずれのデューティー比でもおおよそ±30MPa程度にばらつき,残留応力と成膜条件の相関は明確ではなかった. 以上のように,本研究での成膜条件内では,顕著な結晶配向は認められなかったが,2μm以上では,膜厚の増加に伴って引張側から圧縮側に残留応力が変化しており,Volmer-Weber型成長との対比が興味深い.今後,本研究で開発した手法を援用し,他の基板上への成膜,他材料の成膜,より薄い膜厚の特性の評価を通して,成膜機構が解明されることが期待される.
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Research Products
(1 results)