2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造体の力学的・機能的破壊クライテリオンの創出
Project/Area Number |
23656084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 隆広 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20534259)
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Keywords | ナノ構造体 / 破壊クライテリオン / マルチフィジックス / 分子動力学 / 第一原理解析 / 機能不安定クライテリオン / 強誘電体 / 磁性体 |
Research Abstract |
近年では原子レベルで形状を付与した構造体が注目を集めている。これらの原子構造体は個々の原子の離散性に起因した特有の変形・破壊挙動を示すため、もはや従来の連続体近似に基づく破壊力学概念を適用することは不可能である。一方、ナノ構造体では精緻な原子配列によって機能を引き出している場合が多く、構造のみならず機能を含めた破壊を考えることが必要不可欠である。ところが、構造・機能の両側面から破壊を記述する統一的なクライテリオンは提案されていない。本研究では原子構造体の力学的・機能的破壊を支配する解析的クライテリオンを創出することを主目的とする。 最終年度である平成24年度は、まず、(1)磁場負荷条件下における機能破壊クライテリオンの開発し、(2)開発したクライテリオンを有限磁場に対する強磁性体・鉄の磁気反転現象に対して適用し、クライテリオンとしての有効性・妥当性を実証した。すなわち、前年度と合わせて、強誘電特性・磁気特性に関する機能不安定性クライテリオンの開発に成功した。 さらに、(3)開発クライテリオンを用いてナノ構造体の機能不安定性を評価した。外力を受ける鉄モノレイヤー(原子単層膜)やアトミック・チェーン(原子鎖)の磁気不安定性を評価したところ、マクロ材中でみられる強磁性相(Ferromagnetic; FM)から磁気モーメントがらせん状に回転するスピン・スパイラル(SS)相へと相転移することを明らかにした。さらに、このナノ構造体の特異な相転移現象は、第一近接・第二近接原子間の交換相互作用のバランスが負荷ひずみによって崩れることにより生じることを明らかにした。これらの成果は国際研究誌Physical Review B等に掲載されている。
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