2012 Fiscal Year Annual Research Report
形状と結晶方位を制御したナノワイヤ試験片の創製と力学設計による引張試験手法の開発
Project/Area Number |
23656085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澄川 貴志 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80403989)
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Keywords | ナノ / 単結晶 / 引張試験 / 寸法効果 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1、菱形形状を有する単結晶Siフレームに対して目的とする結晶方位を有する単結晶ナノワイヤを水平に固定し,フレーム上部に対する鉛直下向きの圧縮負荷によりナノワイヤに引張変形を与えた.Siフレームに対しては,圧縮負荷時にせん断成分が現れてもナノワイヤに対して純粋な引張を実現できる力学設計を施した.集束イオンビーム加工によってナノワイヤ表面に導入されるダメージ層は,超低エネルギーミリング装置によって除去した. 2、直径200 nmの径および単一すべり方位を有する金単結晶ナノワイヤを作製し,開発した負荷手法を用いて引張負荷を与えた.荷重-時間曲線では不連続な荷重の急落が発生し,透過型電子顕微鏡を用いたその場観察では荷重急落時に試験片に段差が生じる様子が観察された.有限要素法を用いた解析によりナノワイヤに加わる応力を算出し,その降伏応力を評価した結果,バルク材に比べて数百倍高い値であることが明らかとなった.また,最終破断時には数十nmの径にまでネッキングを示した.試験後の走査型電子顕微鏡観察によって,変形途中に発生した段差は主すべり系の活動によるすべりに起因したものであり,最終的には15 nmにまで細くなった後に破断したことを明らかにした.ひずみ量が増大し,試験片の径が数十nmにまで細くなると,結晶性には関係ない均質的な変形が支配的になることを示した. 3、数十~300 nmの径の異なる金単結晶ナノワイヤを複数本作製し,引張試験を実施した.すべての試験片において,ヤング率はバルク材のそれとほぼ等しかった.表面に生じるすべり線の間隔は,ナノワイヤの径が細くなるにつれて大きくなることを明らかにした.また,降伏応力は,ナノロッドの径が細くなるにつれて増加し,明確な寸法効果が存在した.
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