2012 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼の力学に関わる上肢マルチボディダイナミクスのモデリング
Project/Area Number |
23656087
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澁谷 陽二 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70206150)
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Keywords | 歯科咬合 / 表面筋電位計測 / 不正咬合 / 増分形式構成式 / 有限要素解析 / 頭蓋側屈 |
Research Abstract |
平成23年度では咀嚼筋系に関する筋電図の取得を開始し,平成24年度では咀嚼活動や頭蓋の姿勢制御に伴って,上肢に付随した筋系の筋電図を計測した.具体的には,基準姿勢における筋活動度から,最長筋,腸肋筋,棘間筋,回旋筋,多裂筋,半棘筋,椎前筋,斜角筋,腹肋群,僧帽筋,菱形筋,前鋸筋の12種類を取り上げ,表面筋電位の計測可能な部位について検討を行った結果,僧帽筋が計測可能であることがわかった.これに基づき,直接咀嚼に関わる咬筋と頭蓋の姿勢に関わる僧帽筋の左右両側の筋群について計測を実施した.頭蓋の重心が前後あるいは左右に偏心している場合や比較的前歯での咬合の場合には,回転に対する抵抗としてのモーメントが生じたり,後頸筋としての椎前筋や斜角筋を介した胸部や背部への伝達経路が考えられる.したがって,これら従来の解析結果より活性化された経路付近に着目し,咀嚼の動的作用状態に対する上肢筋系の活動度に関する計測データを取得した結果,作業側の筋活動が活発であるがわかった. また,咀嚼の時間応答の解析を行うために,増分形式の構成式を提案し,負荷速度に依存した非線形な構成式をはりで構成される連続体モデルに導入し,その有限要素定式化を行った.咀嚼のマルチボディダイナミクスにおいて,動的過程における慣性力が著しく大きくない場合,準静的な過程に対する増分形式の定式化で対応でき,筋活動の負荷速度に応じた従来の実験結果と定性的に合うことを確認した.繰り返しの咀嚼に伴い,咬筋等の筋肉の自然長が変化することにより,そのヒステリシスループは定常化されることがかわった.すなわち,筋肉は,初期配置の変化によりひずみエネルギーの散逸の低減をしていると言える.
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