2012 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質多層構造生体材料の開発と軟骨・骨多層組織再生に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23656090
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
東藤 貢 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (80274538)
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Keywords | 再生医療 / 組織工学 / 関節組織 / 生体材料 / 生体力学 / 幹細胞 |
Research Abstract |
末期の変形性関節症や悪性腫瘍のような大規模な関節部の損傷に対する再生医療では,軟骨と骨からなる層状の組織再生が必要となる.そこで本研究では,大規模損傷を伴う関節の完全な再生医療を実現させるための基礎的研究として,軟骨と骨から構成される多層系生体組織の再生医療用足場材料を開発し,骨髄由来間葉系幹細胞を播種後軟骨細胞と骨芽細胞へそれぞれ分化させることで,自然な生体組織に匹敵する力学特性を有すると共に,生体適合性に優れる軟骨・骨多層構造再生組織を創製することを目的とした. 平成23年度には,軟骨-骨の2層構造を力学的に模擬した2層構造の生体吸収性多孔質材料の開発を試みた.軟骨層は延性生分解性樹脂であるPCLの多孔体で作製し,骨層はより弾性率の高いPLLAとバイオセラミックスの一種であるハイドロキシアパタイトHApの複合多孔体で作製した.また,骨単体の組織再生として,コラーゲンとβ-TCPを複合化した多孔体を足場材料として,間葉系幹細胞を播種し増殖・分化させ,力学特性と構造の変化を調査した. 平成24年度は,新たに軟骨単体の組織再生として,コラーゲンゲル,コラーゲン多孔体とゲルの複合体を足場材料として幹細胞の増殖能やALP活性について調査した.その結果,新規に開発したゲル・多孔体の複合構造が有効であることが明らかとなった.さらに,上層にコラーゲンゲルと幹細胞の複合体に軟骨分化誘導剤を加えたもの,下層にコラーゲンとβ-TCPの複合足場材と幹細胞の複合体に骨分化誘導剤を加えたものを用いて重ねあわせた2層構造の関節組織様人工組織を作製し,一定期間培養を行い,人工的に関節組織と類似の多層構造体の作製に成功した.また,骨のC画像から構築した3次元股関節モデルを用いて,人工多層組織を関節にインプラントした場合について,有限要素法を用いて応力解析を行い,力学環境の変化について明らか入した.
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Research Products
(10 results)