2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己き裂治癒コーティング法の開発と耐熱超合金への適用
Project/Area Number |
23656091
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内田 仁 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30047633)
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Keywords | 薄膜 / 高温 / き裂 / 自己治癒 / 積層 / 窒化ケイ素 |
Research Abstract |
本研究では,高温環境下で自己的にき裂が治癒するSiNx/SiCy積層薄膜を作製するとともに,き裂治癒の条件や積層構造が治癒能力に及ぼす影響について検討した.得られた主な知見は以下の通りである. (1)800℃において,SiNx単層薄膜ではき裂はほとんど治癒しなかったが,SiNx/SiCy積層薄膜の場合には,自己的にき裂が治癒したことから,優れた自己き裂治癒能力を有すると言える.これは,SiCyが高温酸化反応によって二酸化ケイ素(SiO2)に酸化し,その際体積膨張することでき裂がSiO2によって補填されるためである. (2)き裂の治癒は加熱温度に依存し,600℃以上でき裂は治癒し始め,加熱温度が高くなるほど,治癒が促進する傾向にあった.しかしながら,1μm厚のSiNx/SiCy積層薄膜の場合,1200℃以上で加熱すると,薄膜全体が著しく酸化し,それに伴って積層構造の一部が消失した.したがって,自己き裂治癒能力を発揮できる温度に上限が存在することが示唆される. (3)加熱温度が600℃の場合,加熱時間が長くなるにつれてき裂の治癒が進み,約72時間でほぼ完了した.また,800℃の場合には24時間でほとんど治癒しており,それ以上加熱しても変化しなかった. (4)積層薄膜におけるSiNxとSiCyの層の積層比が小さくなると,すなわちSiCyの比率が大きくなると,自己き裂治癒能力は向上したが,耐熱衝撃性は低下した.これは,SiCyが自己き裂治癒において重要な役割を果たす一方で,熱衝撃性に劣るためであり,SiNx/SiCy積層薄膜における自己き裂治癒能力と耐熱衝撃性はトレードオフの関係にあると言える.
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Research Products
(5 results)