2011 Fiscal Year Research-status Report
マイクロニードルアレイ工具を用いた高品位・高能率マイクロ穴加工技術の開発
Project/Area Number |
23656103
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
柴田 隆行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10235575)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノ・マイクロ加工 / マイクロ穴加工 / 熱インプリント / マイクロニードルアレイ / MEMS |
Research Abstract |
本研究は,中空構造を有するマイクロニードルアレイ工具を用いた熱インプリント応用技術によって,様々な樹脂フィルムに最小穴径10μm程度の高品位・高精度なスルーホール(貫通穴)を極めて高能率に加工する新規なマイクロ穴加工技術を実現するものである.本研究では,(1)高強度・高靭性を有するニッケル(Ni)製マイクロニードルアレイ工具の開発,(2)マイクロ領域での樹脂材料の変形メカニズムに立脚した最適穴加工条件の設計指針の確立,さらに,応用展開として,(3)ポリイミドフィルムへ最小径10μmの貫通穴加工を実現し,フレキシブル配線板の高精細化・高密度化の可能性を実証する.また,(4)任意の横断面形状(三角形,四角形など)を有する微細穴加工を実現し,機能性樹脂フィルム創成の可能性を検討する.本年度の主な研究成果は次の通りである.(1)高強度・高靭性マイクロニードルアレイ工具の開発:ドライエッチング(RIE:反応性イオンエッチング)を用いたパラジウム(Pd)触媒核の部分的な除去による位置選択的な無電解Niめっき技術を開発し,Si微小孔モールドと組み合わせたプロセスによって,高強度・高靭性を有するNi製マイクロニードルアレイ工具(直径30μm,長さ70μm)の作製技術を確立した.(2)マイクロ穴加工条件の最適化と加工メカニズムの解明:穴加工実験の再現性の向上ならびに加工メカニズムを解明するために,荷重変動測定機能(ロードセル分解能0.01N)を有するマイクロ穴加工装置を製作した.これにより,樹脂フィルムへのマイクロニードルアレイ工具の挿入時および引き抜く際の荷重変化をリアルタイムで計測可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,本提案技術の実用化に必須となる高強度・高靭性を有するNi製マイクロニードルアレイ工具の作製プロセスを確立した.また,組成の異なる無電解Niめっき液を用いたマイクロニードルアレイ工具の試作を行い,機械的強度・破壊靭性などの観点から最適なめっき膜特性をもつ工具材料の選定が行えるようになった.さらに,荷重変動測定機能をもつマイクロ穴加工装置を製作したことで,穴加工過程のインプロセス計測が可能となり,マイクロ穴加工条件の最適化と加工メカニズムの解明のための有益な知見が得られるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)高強度・高靭性マイクロニードルアレイ工具の開発:作製した工具の機械的強度(曲げ強度と座屈強度)を定量的に評価する.また,有限要素法(FEM)による強度解析も同時に行う.さらに,直径10μm(長さ70μm程度)の工具の作製技術を確立する.(2)マイクロ穴加工条件の最適化と加工メカニズムの解明:加工結果に及ぼす穴加工条件(温度,荷重)の影響を精査する.また,加工速度(ひずみ速度)の影響および被覆工具(Pt あるいはDLC)の効果についても検証する.さらに,穴加工実験から得られた知見をもとに,マイクロ領域での樹脂材料の変形挙動に立脚した穴加工メカニズムを解明し,加工条件の最適化を行うための設計指針を確立する.(3)マイクロ穴加工技術の応用展開:ポリイミドフィルム(厚さ37.5μm)へ直径10μm(標準偏差1μm以下),入口側と出口側の直径差1μm以内の貫通穴の形成を実現する.これによって,本提案技術がフレキシブル配線板の高精細化・高密度化を実現するための製造技術として有効であることを実証する.さらに,様々な横断面形状(三角形,四角形など)を有する貫通穴加工(寸法30μm程度)を実現し,機能性樹脂フィルム創成への応用展開の可能性を検討する.特に,異形パターンでは,角部での加工精度やデザインの粗密の影響を調査する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(消耗品)は,マイクロニードルアレイ工具の作製に必要なフォトマスク,シリコンウエハ,めっき液,穴加工装置の部品などに使用する.旅費は,本研究の研究成果発表や研究調査旅費である.謝金は,マイクロニードルアレイ工具作製および穴加工実験の研究補助として計上している.また,その他の費目は,学会参加登録料,学会誌論文投稿料,英文校閲料などである.
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Research Products
(4 results)