2012 Fiscal Year Annual Research Report
小隙スリット電極による高密度大気圧プラズマの生成と高能率マスクレス溝加工への応用
Project/Area Number |
23656104
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐野 泰久 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40252598)
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Keywords | 大気圧プラズマ / 溝加工 |
Research Abstract |
大気圧プラズマは平均自由行程の小ささから、プラズマが電極近傍に局在化して生成する。そのため、エッチングを行いたい部分のみにプラズマを発生可能であり、マスクなしの除去加工(プラズマエッチング)が可能である。しかしながら、1mm以下の微小なプラズマを発生させるためには針状電極や細いワイヤー電極を用いる必要があり、熱的な限界から投入可能電力が低く、高能率な加工は困難であった。申請者は、小隙スリット電極を用いることで、微小な高密度プラズマが生成できる可能性を見出しており、本研究ではその原理を理解するとともに、これを応用した高能率マスクレス溝加工の可能性を見極めることを目的としている。 昨年度、電極-試料間距離を0.1mm以下に狭めることで、並行平板部における加工は行われず、スリット部に対応した部分のみに溝形状が形成されることが確認できた。今年度は、電極-試料間距離を0.1mm以下としながら、スリット幅を変化させて加工実験を行った。その結果、スリット幅が0.5 mmのものでは、明らかにスリットのエッジ部を中心として加工が行われており、0.2 mmのものでも溝の最深部はスリットのエッジに対応する場所であった。一方で、0.1mmのものはスリットエッジ部に対応する部分ではほとんど加工がみられず、スリットの中央部が最も深く加工されていた。溝の半値幅は0.06 mm程度であり、これまでに無い狭い溝が形成された。これは、スリット幅が広い時はスリットエッジによる電界集中のためエッジ部を中心にプラズマが発生するが、スリット幅が狭くなるとエッジ同志の距離が近づくことで電界集中が起こりにくくなり、結果としてスリット内部のプラズマがエッチングに寄与する割合が大きくなったためと考えている。電極-試料間距離やスリット幅を適切に設計することで、高能率マスクレス溝加工が実現可能であろうと示唆される。
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