2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23656106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 秀和 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362651)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | X線ミラー / 位相回復 |
Research Abstract |
回転楕円形状を持つX線集光ミラーは、大開口、微小集光、長焦点距離、色収差なし、などの特徴を持つことから、理想的な光学素子と言える。しかしながら、優れた性能を実現するためには、X線を反射する内面形状において、ナノメートルの形状精度が求められる。 本研究では、回転楕円型X線集光ミラーの作製に不可欠な、ナノ精度で内面形状の測定が可能な、位相回復法に基づく形状評価システムを構築することにある。今年度、主な実施項目は 1. 回転楕円型X線集光ミラーの性能評価シミュレーターの開発。2. 回転楕円型X線集光ミラーの計測のための位相回復シミュレーターの開発。3. 実証試験のための可視レーザーを利用した光学システムの構築である。 項目1では、波長3nmの軟X線用の回転体型X線集光ミラーの形状を設計し、波動光学シミュレーションによる性能予測プログラムを開発した。表面反射における位相シフト、反射時の偏光による楕円偏光を考慮し、理想強度プロファイルの計算を行い、回転楕円ミラーにより10nm以下のサイズの集光が可能であることを示した。項目2では、タイコグラフィーによる位相回復シミュレーターを開発し、回転楕円型X線集光ミラーの特徴である円環開口の集光光学系においても、位相回復が可能であることを示した。項目3では、He-Neレーザー、集光レンズ、CCDカメラから成る基礎実験装置を構築し、位相回復法の実証実験を可能にした。 以上のように、研究に不可欠な性能予測・位相回復プログラムを開発し、本構想が実現可能であること確認した。そして、実験室内に、実証実験用光学システムを整え、可干渉性X線を想定した実験が実施可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
回転楕円型X線集光ミラーの形状・性能評価プログラムと位相回復による波面誤差算出プログラムを完成させ、CCDカメラ上の誤差、アライメント誤差の位相回復計算への影響等を調べるなど、ソフトウエア関係整備において完全に目標が達成された。実験系の整備では、位相回復実験が可能な設備の購入を終え、仮想レンズによるCCD像の取得、集光点近傍にナイフエッジを挿入した時の強度変化、フレネル回折による干渉縞の確認を行った。目標の80%は達成されたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した位相回復プログラム、構築した実証実験用光学システムを用い、回転楕円型x線集光ミラーを想定した波面計測実験を実施する。 平行して、回転楕円型X線集光ミラーの作製を進めおり、SPring-8においてX線を利用した評価を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以上の計画から、今後、研究費は、SPring-8におけるX線による評価装置の開発に使用する予定である。回転楕円型X線集光ミラーの入射角度調整ステージ、XYZ調整ステージ、およびミラー設置のためのジグ類を購入する。
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