2012 Fiscal Year Research-status Report
板成形CAE高精度化のための大ひずみ域応力-ひずみ関係と異方性の新しい決定法
Project/Area Number |
23656108
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 総仁 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50016797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 隆太郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283160)
濱崎 洋 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30437579)
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Keywords | 成形加工 / 弾塑性特性 / CAE / 大ひずみ / 異方性 |
Research Abstract |
実際のプレス成形では50%以上の大ひずみが生じるので,成形シミュレーションには材料の大ひずみ域での応力-ひずみ関係を表す材料モデル(材料パラメータ)の使用が不可欠となる.しかし現状では単軸引張り実験で得られた10~25%程度のひずみ域の応力-ひずみ関係を外挿して特性を推定している.このことが成形シミュレーションの予測精度を大きく左右している.本研究は,大ひずみ変形が可能なプレス成形実験データを用いて,その成形シミュレーションを行い,重要な大ひずみ弾塑性特性を逆解析で求めるという新しいアイデアによりこの問題を解決しようとしている. 平成24年度では,大ひずみ領域における加工硬化(応力-ひずみ関係)を面内三点曲げから求める方法について検討した.大きなひずみを与えるために,板に引張り力を加えながら曲げる引張り曲げを用いる方法について検討した.まず初めに,弾塑性有限要素法により,面内三点曲げのシミュレーションを実施した.大ひずみ域で加工硬化が継続するSwift則と硬化が一定値に収束するVoce則を用いて,面内三点曲げにおける荷重-たわみ挙動および試験片変形形状が硬化則によってどのように異なるかについて検討した.材料としては高張力鋼板590R, 780Y, 980Yを対象とした.その結果,たわみの大きな領域では硬化則によって荷重-たわみ挙動に違いが見られること,また荷重点直下(引張り側)でひずみ集中の状況が異なることがわかった.そこで,二軸引張り試験機を利用した引張り曲げ装置の試作を設計し,現在はその動作を確認している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度には,大ひずみ領域における加工硬化(応力-ひずみ関係)を面内三点曲げから求める方法について主に弾塑性有限要素法によるシミュレーションで検討した.この結果は,大たわみ面内三点曲げでは大ひずみ加工硬化特性が荷重ーたわみ挙動や試験片変形形状に影響するという重要な知見が得られた.このことは,面内三点曲げと弾塑性逆解析により大ひずみ域の硬化特性を決定するという方法が有望であることを示した. 面内三点曲げ装置も設計・製作したが,まだ予備実験段階にとどまっており,この点では当初計画より遅れがでていると言わざるをえない.早急に実験を進め,当初目標を達成したい.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には,大ひずみ領域における加工硬化(応力-ひずみ関係)を面内三点曲げから求める方法について確立する予定である.これは,大たわみ面内三点曲げにおける荷重-たわみ挙動と試験片変形形状が板材の大ひずみ加工硬化特性に強く依存するということを利用したもので,その枠組みと研究項目は次のとおりである. (1)板材の面内三点曲げ実験: 主に高張力鋼板(590R, 780Y, 980Y)を用いて実験を行い,荷重-たわみ曲線を求めるとともに,大たわみ時の試験片変形形状(とくに荷重点直下の引張り側におけるひずみ局所化)のデータを取得する. (2)面内三点曲げシミュレーション: 大ひずみにおいて硬化特性に差異がある構成式を用いて,三点曲げのシミュレーションを行う.このとき,材料のバウシンガー効果も問題となるので,研究代表者らの提案している移動硬化モデル(吉田・上森モデル〔改良版=μパラメータモデル〕)を用いる. (3)弾塑性逆問題による硬化パラメータの同定: 吉田・上森μパラメータモデルの硬化特性パラメータであるμ値を弾塑性逆問題として求める.このことにより,大ひずみ域での硬化特性を決定することができる. さらに,板材の面内異方性を特定するために,円筒深絞りにおける耳高さを用いた,弾塑性逆解析によるパラメータ同定法を確立する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし.
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