2011 Fiscal Year Research-status Report
ダイヤモンドパワーデバイス製作のための超平坦面創成プロセスの開発
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23656110
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
久保田 章亀 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (80404325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 精密研磨 / 精密部品加工 / ダイヤモンド / 先端機能デバイス |
Research Abstract |
ダイヤモンドは,硬度,高伝導率,絶縁特性,耐環境性に優れた特性を有し,高耐圧,低損失,高速動作を可能とする冷却フリーな次世代省エネルギーパワーデバイス用材料として期待されている.しかしながら,ダイヤモンドは,物質中で最高の硬度を有し,熱的・化学的に極めて安定であることから,その加工は困難であり,ダイヤモンドの高能率・高精度加工法の開発が急務となっている. 本研究では,ダイヤモンドパワーデバイスの実現に向けて,常温・常圧の溶液環境下における化学反応を効果的に利用した,安全で低コストなダイヤモンド基板の加工方法を提案・開発し,デバイス製作時に必要とされるダメージフリーな高品位ダイヤモンド面を創成することを目的としている. 平成23年度は,溶液中において,遷移金属を利用したダイヤモンドの加工法を提案し,その加工実現性を実験的に検討した.溶媒中で遷移金属工具とダイヤモンド試料を一定圧力のもとで接触させ,両表面間を相対的に運動させ,遷移金属工具とダイヤモンド試料との接触領域に生じる加工痕の有無によって加工実現可能性を判断した,その結果,溶液中においてダイヤモンドを加工することを見出した.また,加工前後の64μm×48μm四方のダイヤモンド表面凹凸を位相シフト干渉顕微鏡を用いて評価した結果,加工前の表面粗さが,Ra: 2.24 nm,RMS: 3.03 nm,P-V: 28.40 nmであったのに対して,加工後の表面粗さは,Ra: 0.16 nm,RMS: 0.20 nm,P-V: 2.36 nmであり,表面粗さの大幅な改善を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
常温・常圧の溶液環境下における化学反応を効果的に利用したダイヤモンドの加工の可能性を実験的に明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
最適加工条件を見出すことによって,2 μm四方の測定領域において,表面粗さRa: 0.1 nm, PV: 1 nm以下の超平坦表面を実現する.また,原子間力顕微鏡(AFM)(測定領域:数百 nmから数十 μm四方),位相シフト干渉顕微鏡(測定領域:数百μmから数mm四方)による測定で得られたデータをもとに,mmからnmの広範囲にわたる空間波長帯域の表面凹凸改善効果をパワースペクトラム解析(FFT解析)によって明らかにする.さらに,加工表面の高分解能断面TEM観察を試み,実加工プロセスによって得られたダイヤモンド表面の原子レベルでのダメージの有無や最表面近傍の原子構造を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ダイヤモンド基板の購入費用やダイヤモンドの加工能率向上を図るための装置改良費用,加工時の消耗品の購入に充てる.
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Research Products
(4 results)