2013 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロクラックフリーな表層の”なじみ”効果を利用した超長寿命摺動面の開発
Project/Area Number |
23656114
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土屋 健介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (80345173)
|
Keywords | 摺動面 / ピッティング / なじみ / 鏡面加工 / 微細凹凸形状 |
Research Abstract |
歯車や油圧モータ、軸受、シリンダ、などの摺動面は、潤滑油を付与しているが高い押付力と高い剪断力を課されている。ここでは、摺動を繰り返すうちに、表面の凸部同士が摩耗して平滑になる(いわゆる“なじみ”)。だがこの間に、局所的だが大きな塑性変形 によって、マイクロクラックが発生し、それが伸展して一部の表面が剥がれる。この不良は「ピッティング」と呼ばれ、トライボロジーの最大の問題点になっている。本研究はこのピッティング防止用として、マイクロクラック無しで“なじみ”が容易に生じるような 、超長寿命の摺動面を提案する。具体的にひとつは、超精密加工を用いて、表層に残留圧縮応力を保ちながら表面を鏡面に仕上げた“はじめからなじみ切った”摺動面、もうひとつは表層に高さ10μm程度の凹凸を転写してから厚み10μmの潤滑膜を付与した“積極的になじませる”摺動面である。 平成25年度は、摺動面の強化のためにフィラーを添加した複合めっき膜付与を試みた。直径数μmの粒子をめっき浴に混合することで、表面に10μm程度の凹凸ができることがわかり、その条件の最適化を行った結果、従来のめっき膜よりも高い硬度を実現した。 さらにめっき時に生じる空隙に潤滑膜としてフッ素樹脂を充填することで摩擦を低減し、磨耗に対する強度と弾力とを両立することに成功した。
|