2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23656116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 孝久 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (60152716)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | プラズマイオン注入 / フラーレン / カーボンオニオン / 結晶成長 / 粒子合成 |
Research Abstract |
フラーレン系ナノ構造体であるC_<60>やカーボンオニオンは優れた機械的・電気的特性を有することが期待されるものの、同様の結合からなるカーボンナノチューブ等に比べ、そのサイズ制御が困難であるため現状その応用がほとんど進んでいない.カーボンオニオン合成手法としては、ダイヤモンドナノ粒子の高温アニール法、アーク放電法などがあるが、貴金属へのカーボンイオン注入法を用い、カーボンオニオンの粒子径の制御とその増大を試みた.スパッタAg貴金属薄膜内へのCH_4プラズマイオン注入により、Ag結晶粒界におけるカーボンオニオンの形成が確認されたことから、より安定なサイトでカーボンイオンが集積し粒子伏に析出するものと考えられる.またその粒径は7.5±1.5nmであり、鋭い粒径分布を示すことが明らかとなった.さらに、イオン注入後の真空アニール処理によって、その粒径は17.4±1.7nmに増大することが確認され、Ag結晶粒内に含まれるカーボンがアニールに伴う拡散によって、粒子表面に析出しグラファイト化することでカーボンオニオン粒子が成長したものと考えられる.このような熱拡散によるカーボンオニオンの粒子成長はこれまでに報告がなく、粒子の成長場を制御することで巨大フラーレンが形成される可能性を示した.さらに装置改良も含んだ注入エネルギーの増大によって、貴金属内でのカーボンの拡散距離が大幅に増加することが考えられるとともに、基板元素の策定によって、今後のマイクロメートルスケール巨大フラーレン粒子の合成が大いに期待される.
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