2011 Fiscal Year Research-status Report
ネオジム磁石薄膜のマイクロ多極着磁とそのMEMSへの応用
Project/Area Number |
23656117
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
進士 忠彦 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (60272720)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ネオジム磁石 / 薄膜 / 着磁 / 飽和 / マイクロリニアモータ / ホールプローブ |
Research Abstract |
本研究の目的は,バルクのネオジム磁石に匹敵する残留磁束密度と保磁力を有する薄膜ネオジム磁石(NeBFe/Taの多層膜構造,膜厚数μm)のマイクロ多極着磁(ピッチ0.1mm以下)の実現を第一の目的とする.また,上記技術のマイクロリニアモータへの適用を試みる. 本年度は,パルス着磁の限界を明らかにするため,マイクロ着磁コイルとそのための特殊着磁電源を使った着磁実験を実施した.まずは,昨年度の予備実験で実現困難であった0.5mmピッチでのNS着磁を目指した.コイルの時定数を小さくするため,1往復半の蛇行コイルをφ0.26のエナメル線を樹脂製ボビンに埋込み作成した.パルス幅1.3μm,最大電流4,800Aの通電を実現し,着磁を実施した.試料としては,スパッタにより10×10×0.5mmのガラスプレートに3μmの薄膜ネオジ磁石を堆積したものを用いた. 磁場の測定には,感磁面積0.11×0.11mmのホールプローブを用いた.薄膜ネオジム磁石表面から,0.25mm離れた位置の垂直方向磁束密度を計測,測定結果と有限要素法を用いた磁場解析ソフトからの計算結果を比較した.その結果,表面磁束密度の実測値は,p-p値で4.1mT,計算値で7mTと,予想の6割程度で有った.磁気飽和が不十分な理由を,着磁時の渦電流による逆磁界や,試料とコイルのアライメント誤差と考え,それらを考慮した磁場解析を実施したが,主要原因と確定することができなかった.今後,継続的な検討が必要である.また,実験的に,試料の背後に,鋼鉄(SS400)によるバックヨークを用いた着磁を実施したところ,飽和予想値の7割程度まで,磁束レベルを向上することができた.また,一部,不十分ではあるが,分割着磁した薄膜ネオジム磁石を用いたリニアモータの試作と駆動実験も実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
薄膜ネオジム磁石の微細着磁(0.1mmピッチ以下)を目標としており,今年度としては,パルス着磁用のマイクロコイル,電源,バックヨークを改良することで,0.5mmピッチで,理想値の7割程度の飽和との成果を得た.ほぼ,パルス着磁の限界値を明らかにすることができた.また,当初,24年度を予定していたリニアモータの試作に,一部本技術を適用できた.パルスレーザ着磁の検討には及ばなかったが,おおむね順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は,当初の研究計画の通り,パルスレーザを用いたマイクロ着磁に注力し,ピッチ0.1mm以下でのNS分割着磁を目指す.このため,レーザ局所加熱・急冷システムの構築,DC外部磁場形成のための磁気回路設計を年度前半で進め,後半にて,着磁実験とその評価を実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は効率的に研究費の使用が出来た.レーザ局所加熱系の構築およびDC外部磁場発生装置の試作を翌年行うこととしたため残額が生じた.
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