2012 Fiscal Year Research-status Report
ネオジム磁石薄膜のマイクロ多極着磁とそのMEMSへの応用
Project/Area Number |
23656117
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
進士 忠彦 東京工業大学, 精密工学研究所, 教授 (60272720)
|
Keywords | MEMS / 薄膜磁石 / 着磁 / 減磁 / リニアモータ |
Research Abstract |
本研究では,0.1mmピッチ以下のマイクロ多極磁石薄膜を実現し,そのMEMSデバイスへの応用を目指している.具体的には,高い保磁力を有する厚み数μm程度のネオジム磁石薄膜(NdFeB/Taの多層膜)に,0.1mm以下のピッチで,面に垂直な方向にNSが交互に繰り返す磁石薄膜を実現し,マイクロリニアモータに応用する.この目標に対して,まず,微細ピッチの微小コイルを用いたパルス着磁を試みた.システム全体の時定数を通常の1000分の1程度にした特殊な着磁機を開発することで,数μ秒間4,000Aを越える大電流を微小蛇行コイルに流すことに成功した.0.5mmピッチでの交番着磁を実施し,有限要素法による静磁場解析結果とホール素子を用いた磁場計測結果が高い精度で一致することから,完全着磁が実現されたことを確認した.これを用いたMEMSリニアモータ(移動体サイズ4×4×0.2mm,最大ストローク36mm) の試作ならびにその位置決め制御(分解能100μm)に成功している.しかしながら,微細コイルを用いたパルス着磁では,これ以上の着磁の微細化に限界があることも明らかになった.このため,レーザ加熱による減磁や,加熱による保磁力低下を利用した比較的低い外部磁界による局所的な着磁を試みることにした.その実現のため,各種レーザ源を,熱伝導解析や予備実験により絞り込み,最終的に波長0.532μm程度のYVO4レーザが利用可能であることを明らかにした.このレーザを用いた実験により,0.2mmピッチでの減磁や,現状は,飽和磁束の半分程度ではあるが,0.5mmピッチでの着磁が可能なことを予備実験で確認している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
微小着磁に関しては,微小コイルとパルス着磁電源の限界を明らかにし,数値解析と実験値との比較からも妥当であることを確認している.また,研究計画書にて提案済みの,レーザ加熱による減磁や着磁法の検討に着手し,目標値の0.1mm以下の微細着磁には到達していないものの,予備実験から目標到達への手応えを得ており,H25年度の追加実験にて最終目標の達成は可能と考えている.また,実際に0.5mmピッチでの交番着磁に成功した薄膜磁石を用いたマイクロリニアモータの試作に成功し,フォードバック制御系を構築することで,位置決め動作にも成功している.
|
Strategy for Future Research Activity |
レーザ着磁および減磁の実験を進め,提案手法の限界や問題点を明らかにするとともに,微細着磁磁石を用いたマイクロリニアモータの更なる小型化,高出力密度化を検討する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追加実験用の材料,機器借用費ならびに研究成果発表用の経費に支出する予定である.
|