2011 Fiscal Year Research-status Report
電解重合による導電性高分子の高速な成膜を利用した自己修復型トライボシステムの構築
Project/Area Number |
23656118
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中野 健 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (30292642)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | トライボロジー / 電解重合 / 自己修復 |
Research Abstract |
筋骨格系のなめらかな運動を実現する生体関節は、過酷な摺動を受け続けながらも、生体の寿命程度の長期間を、表向きには「メンテナンスフリー」で作動する。これは、生体関節が重度の損傷に至りにくい構造を有するばかりでなく、仮に軽度の損傷が生じたとしても、それを「自己修復」する機能をシステムとして有するからである。生体に特有な自己修復機能を人工物に持たせて、「メンテナンスフリーな機械摺動面」を実現することを、本研究の究極の目標とする。電気化学の分野で精力的に研究されている「電解重合による導電性高分子の高速な成膜技術」をトライボロジーの分野に導入して、生体関節の自己修復機能を模倣した「自己修復型トライボシステム」の構築に挑戦する。本年度は、電解重合法によりSUJ-2製のDisk上にポリチオフェン膜を形成し、電解重合時に電解質溶液の溶媒として用いたイオン液体(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート)を潤滑剤として、SUJ-2製のBallを対向面としたすべり摩擦試験(ball/disk)を実施した。電流密度と通電時間をパラメータとして成膜条件を探索して、得られた電解重合膜のトライボロジー特性を調べた。その結果、電解重合膜が厚すぎると膜の剥離が生じて、良好なトライボロジー特性が得られないことがわかった。従って、電解重合膜の成膜に際しては、電流密度または通電時間を必要最小限に小さく抑えるか、またはdisk側ではなくball側に成膜するなどの工夫が必要であることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、おおむね順調に進展している。ただし、自己修復型トライボシステムの構築に向けて、トライボロジー特性に優れた材料と潤滑剤の組み合わせの探索には、まだいくらかの時間が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
自己修復型トライボシステムの構築に向けて、電解重合の専門家である研究連携者(横浜国立大学 跡部 真人 教授)との協力体制のもと、トライボロジー特性に優れた材料と潤滑剤の組み合わせを見出す。電解重合膜の密着性の向上のために、基板の表面粗さを調整したり、電解質溶液へドープする材料を工夫するなどして、高性能な自己修復型トライボシステムの構築を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
自己修復型トライボシステムの構築に向けて、トライボロジー特性に優れた材料と潤滑剤の組み合わせの探索のために、主として消耗品(テストピースと薬品)の購入に使用する。
|