2012 Fiscal Year Research-status Report
電解重合による導電性高分子の高速な成膜を利用した自己修復型トライボシステムの構築
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23656118
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中野 健 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (30292642)
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Keywords | トライボロジー / 電気化学 / 境界潤滑 / 電解重合 |
Research Abstract |
筋骨格系のなめらかな運動を実現する生体関節は、過酷な摺動を受け続けながらも、生体の寿命程度の長期間を、表向きには「メンテナンスフリー」で作動する。これは、生体関節が重度の損傷に至りにくい構造を有するばかりでなく、仮に軽度の損傷が生じたとしても、それを「自己修復」する機能をシステムとして有するからである。生体に特有な自己修復機能を人工物に持たせて、「メンテナンスフリーな機械摺動面」を実現することを、本研究の究極の目標とする。電気化学の分野で精力的に研究されている「電解重合による導電性高分子の高速な成膜技術」をトライボロジーの分野に導入して、生体関節の自己修復機能を模倣した「自己修復型トライボシステム」の構築に挑戦する。 本年度は、固体表面に形成される境界膜の有無を計測するために、高速度サンプリングインピーダンス法を開発した。直鎖アルカンを基油、脂肪酸を添加剤として用いた。添加油を供試油とするとき、添加剤の濃度は1 mass%とした。試験片として、SUJ2製の鋼球とS45C 製の鋼平板を用いた。電磁石で固定した鋼球を高さ100 mmの位置から自由落下させて、供試油の薄膜を載せた鋼平板に1回だけ衝突させた。鋼球と鋼平板の間のインピーダンスを計測するために、両者の間に交流電圧を印加した。衝突に応答する加速度センサの信号をトリガとして、印加した交流電圧と回路を流れた交流電流を、サンプリング速度200 MHzで計測した。 その結果、わずか100マイクロ秒の衝突時間の中で発現するオレイン酸の境界潤滑効果は、確率的なものであることと、基油の鎖長および混合比の影響を受けることが明らかになった。これをすべり摩擦の接触面のアスペリティの衝突に置き換えて考えると、微視的に現れる確率的な境界潤滑効果の重ね合わせとして、巨視的な潤滑効果や摩擦係数が決まることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高速度サンプリングインピーダンス法の開発に留まり、電解重合の導入に注力することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
短時間衝突接触面(衝突時間:約100マイクロ秒)を対象として、電解重合による導電性高分子の高速な成膜技術の導入を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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Research Products
(1 results)