2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子速度分布関数と平均場運動論理論による超臨界混合界面における輸送現象の解明
Project/Area Number |
23656122
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡部 正夫 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30274484)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 一道 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80453140)
矢口 久雄 群馬工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20568521)
|
Keywords | 分子気体論 / Enskog-Vlasov方程式 / 分子動力学 / 平均場運動論理論 / 超臨界 / 測度分布関数 / 輸送現象 |
Research Abstract |
本研究の目的は,界面における物質輸送速度を定量的に評価することである.今年度は,界面における物質輸送に重要な役割を果たす蒸発・凝縮に着目した. 分子動力学を用いた解析では,界面での非平衡性と分子間相互作用が顕著であり,物質輸送や界面構造の解析には分子レベルの複雑さを本質的に伴う二成分系の蒸発・凝縮の基礎研究に着手した.アルゴン液膜とアルゴン-ネオン混合蒸気の二成分気液二相系の静止平衡状態に関する分子動力学シミュレーションを行い,密度遷移層やモル分率に関する検討を行った.ネオンのモル比の増加にともない,ネオンの表面吸着によってアルゴンの密度遷移層厚さは増加し,遷移層におけるアルゴンのモル分率は低下することがわかった.また,モル比の増加によりアルゴンの蒸気相密度が増加し,その結果,液相から気相に向かうアルゴン分子の質量流束も増加することがわかった. Enskog-Vlasov 方程式を用いた解析では,平衡系および非平衡系のシミュレーションを行った.非平衡系においては真空蒸発と凝縮のシミュレーションを行い,特にEnskog-Vlasov 方程式を用いた凝縮系のシミュレーションは本研究が初めてとなる.平衡系シミュレーション結果より,液相密度,遷移層厚さが分子動力学解析の結果と一致しないことがわかった.非平衡系シミュレーション結果より,真空蒸発シミュレーションはおおむね分子動力学解析結果(蒸発係数の温度依存性や巨視量の空間分布など)と比較的よい一致を示した.また,非平衡凝縮シミュレーションにおいても,気体論境界条件は分子動力学結果と同様の傾向を示した.さらに比較的高温の液相で気体論境界条件を求めるとともに,気液界面の場の非平衡構造を発見した.本計算結果より,Enskog-Vlasov 方程式は気液非平衡系のモデルとして有用であることが示された.
|
Research Products
(4 results)