2012 Fiscal Year Research-status Report
DBDプラズマアクチュエータを用いた新しい着火・燃焼促進技術の開発
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23656125
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝田 謙一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80282101)
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Keywords | 燃焼 / 流体 / プラズマ |
Research Abstract |
誘電体バリア放電(Dielectric Barrier Discharge: DBD)により発生するプラズマは気流に運動量を与えるアクチュエータとして,翼面の剥離抑制等に使われている。一方でDBDは気流の温度を上げないまま電子温度のみを極めて高温とすることによって,化学的に活性な物質を発生させ気流内に供給することができる。 本研究はDBDプラズマアクチュエータにより発生する化学活性種を用いて空気流中に噴射された燃料の着火・燃焼を促進する新しい技術の開発を目指すものである。超音速空気流中に非平衡プラズマを発生させる装置の形状効果を調べるために,従来の後向きステップ形状に代わって,膨脹波を発生しないステップなし形状のDBDデバイスを作成し作動特性を調べた。その結果,ステップなしDBDデバイスはステップ付に比べて,電極と周囲の風洞テストセクション部の金属部品との間で意図しない放電がおこりやすく,動作安定性で劣ることが分かった。 昨年度に開発した非平衡プラズマトーチを用いた着火・燃焼実験では,静止大気中では意図した作動状態を得ることが出来たものの,吸込み式超音速風洞の壁面に取り付けた場合には,トーチから流出した荷電粒子がトーチ噴射孔周りの誘電体でおおわれた部分を超えて下流の金属製風洞壁面に到達し,別形態の放電状態となることが観察されていた。このことに対する改良や,炭化水素系燃料を作動ガスとした場合のプラズマ特性を分光分析により解明する実験について検討を行い方針を固めつつあったが,研究代表者が長期入院(延べ7ヶ月)する事態となったため,改良対策および新たな炭化水素を含む作動気体を用いた実験はほとんど実施できなかった。これらは,次年度に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が病気で長期間(延べ7ヶ月間)入院し,研究の一部が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施できなかった既開発の非平衡プラズマトーチを用いて空気あるいは酸素を作動気体として,水素燃料の着火・燃焼実験を行う。また,炭化水素系燃料を作動ガスとした場合に発生する非平衡プラズマの特性,特に発生した非平衡プラズマがどのような活性化学種を含んでいるかを分光分析により解明する実験を実施する。 さらに,低速流におけるDBDプラズマアクチュエータについて研究実績を有する東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻の浅井圭介教授を新たな研究分担者に加えて,前年度に開発した非平衡プラズマトーチにおいて,一部の作動条件で見られた風洞本体の金属構造物との間での意図しない放電の発生原因に検討を加え,意図しない放電の発生を抑えるための非平衡プラズマトーチの構造及び作動方法の改良を行い,より安定的に作動する改良型非平衡プラズマトーチの作動特性および各種燃料に対する超音速気流中での着火特性を調べる。また,ステップなしのDBDデバイスについても,意図しない風洞本体との放電の発生を抑制して作動を安定化するために,装置自身及び風洞本体への取り付け方法の改良を検討し,可能な対策を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の使用額は当初計画していた実験の一部を次年度に延期することにより生じたものであり,延期した実験に必要な経費として平成25年度請求額と合わせて使用する予定である。また,改良トーチを設計・製作し,改良トーチの作動と着火特性を調べるための実験を行う。
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